『あ、雨降ってる。』 今日の天気予報は晴れだと言っていたと思ったんだけど…と考えてもお天気キャスターを恨んでも仕方がない。ザーザー降りでもなく、パラパラと降っている訳でもない何とも中途半端な雨に何も出来ずにただ立ち尽くしていた。 「走って帰ろうか…と悩んでいる確率92.6%。」 『大正解。』 いつの間にいたのなんて聞き逃した。結構テニス部のみんなって突然現れるよなあ。今更だけどね。 『にしても、たしか柳くんって帰る方面はこっちじゃないよね?』 「まぁな。俺は今日商店街に用がある。」 『商店街ってこっちの?』 「ああ、俺のお気に入りの本屋がこっちにしかないからな。」 本当なら下駄箱の出口の方向が違ったからすごく気になったから聞いたが、大した理由ではなくて、拍子抜けだった。 「今馬鹿にしただろう。」 『…そそそんなことないよー。』 「…みょうじは嘘がとても下手だな。前々ながら思っていたが、データ以上だった。」 『嬉しいと思って良いのかあまり分からないや…』 「安心しろ。少なくとも俺はそうゆう奴の方が好きだからな。」 『あ、ありがとう。』 これっていい意味でとらえるべきだよね? うん、きっとそうだ。 「ほら、行くぞ。」 『あわわ、待ってよ。』 今日で分かったこと…柳くんはデータがほんとにすごくて優しいけど、ちょっぴりイジワルだ。 雨の日の放課後 『柳くんありがとう。』 「ああ、お返しは何でも良いからな。」 『お返しって求めるものなんだ…。』 . |