『え、今何て言ったの桑原くん?』

「だから今日の対戦校は去年全国に出場した学校だって言っただろ。」


赤也から聞いてなかったのかと問う桑原くんに何とも言えなかった。だって、切原くん対戦校どころかスッゲー楽しみ!としか言ってなかったもん。だからと言って対戦校が1校だけと思い込んでいた私もつくづく馬鹿だと思うが。


『だからあんなにも2人が言い合っていたのか。』

「ん?なんか言ったか?」

『ううん、独り言だよ。教えてくれてありがとう。』

「おう、今日はよろしくな!」


そう言って桑原くんは丸井くんがいる方へ走って行った。私は華和さんがコート整備(幸村くんが指示した)をしている間に、ドリンクを作っていた。


「おい、そこの女。」

『…(私しかいないよね)なんでしょうか?』


後ろから尋ねられたので振り向けば、ラケットを肩に乗せて堂々と立っているキラキラオーラが満載な男の人がいた。つくづく思うが、テニス部は美形な人しか入部できないのかと疑問になる。


「あの女はなんだ。」

『(ぜったい華和さんだ…)あの女とはコート整備している人ですか?』

「立海にあんな非常識な奴は少なくとも今までにはいなかった。」

『(幸村くん達がいたらそんな行動はさせなかったと思うんだけどなぁ…)すみません、コートには立海の選手はいましたか?』

「アーン?アイツ等ならミーティングで居なかったが。」


そうなら話は別だ。華和さんが好き勝手にしているかもしれないぞ。というかその前にこの人は一体何者なんだろう。


『すみませんが、どちらの学校の方ですか?』

「お前ふざけてんのかアーン?」

『や、あの…すみません無知で。』

「俺様は氷帝学園の部長の跡部だ。」

『……氷帝学園?』


聞き慣れた学校名が聞こえたぞ。


「学校名言えばだいたいどんなところか聞いたことぐれーあんだろな。」

『まあ、そうですね。かなり知ってます。』



そういえば跡部さん?が着ているユニフォームをよくよく見れば確かに私は見覚えがあった。



『跡部さん?あの、華和さんに関しては立海の方で対処させていただきます。本当にすみませんでした。』

「早急に頼んだぞ。」

『了解です。がんばってくださいね。』

「貴様もな。」


華やかな跡部さん?を見送り、私はダッシュで幸村くん達を捜しに行った。本当なら私自身で注意をしたいが、絶対彼女は私の言うことなんて聞くはずがないから。……なんかむなしいなあ。


「ククッ、アイツがみょうじなまえか…。なかなか案外面白いじゃねえか。宍戸たちが推すだけあるかもしんねえな。」


彼の言葉はそよ風にかきけされていた。


俺様と平凡


『幸村くん、華和さんが暴走してるって氷帝学園の跡部さん?に注意されたよ。』


「良いよ放っておいて。だってわざとだし。」

『え?』

「あらかじめああしておいた方が後が楽だからな。」

『? よく分かんないんだけど…』





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