そしてあれから数日経ったある日、私と切原くんが付き合ったという噂がとうとう私自身の耳から入るようになった。だからと言ってファンクラブの人たちには何もされていないし、寧ろ喜ばしく思っているみたいだ。なんでも私が何でも部だからなのと、華和さんが切原くんに近づけなくなったかららしい。


「なまえさ、今日辺りで切原と付き合った事が全校生徒に知れ渡ったんじゃない?」

『結構時間かかったね。まあ、どうってこともないんだけどさ』

「でもまさかなまえが切原をねえ……意外過ぎるわ。ね、真田?」

「…何とも言えん。だが、みょうじなら赤也を任せられるからな」

『ありがとう真田くん』


私は真田くん達だけでなく、親友のころんもあえて言わない事にした。ちょっぴり心が痛むけれど、巻き込んでしまいたくないのだ。だから私は隠し続ける。


「みょうじせんぱーい」

『あ、切原くん。どうしたの?』

「へへっ、何もっス」


また、切原くんが彼氏というポジションにいるからか、最近こうやって特に理由がないのにやって来る。本物の彼氏ではないのに、わざわざフリをするためにいつも私の前に現れる切原くんは役者でないかと思った。


『(彼氏…って言うより弟ポジションの方が合ってるような気もするけど)』


耳としっぽが幻覚で見える切原くんの姿は非常に可愛らしい。丸井くんも可愛らしい部類だが、切原くんのような動物の可愛らしさではない。


「みょうじ先輩じゃあまた昼来ます!」

『ありがとう切原くん。待ってるね』


そんな私たちの光景を見ていたのはクラスの人たちだけではなく


「アイツがみょうじなまえ……!」


華和依子さんもいた。


嵐の前兆


「みょうじ先輩!昼パン奢りでよろしくっス!」

『先輩にたからないでくれないかな?』


これが切原くんと私の2人きりの会話だったりする。





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