『あの…切原くん』

「俺、先輩らと一緒に全国3連覇したいんス。あんな奴のせいでそれが叶わなくなるのはぜってえ嫌っつーか…考えられねーんスよ!」


切原くんは本当にそう思っているのだろう。必死に言っているのが私でもよく分かる。倉伏会長さんとどこか被って見えた気もした。


『切原くん、あのさ…』


私はファンクラブの依頼の事を全て話した。切原くんはファンクラブが自分とおんなじ事を考えていたなんて知らなかったらしく、驚いていた。


『愛されてるね、テニス部って』

「…そっすね。ちょっと見直しました」

『私、切原くんのおかげではっきりしたよ』

「と、言いますと?」

『華和さんを更正させてみせる』


やっぱり私に華和さんを辞めさせるのは駄目なんだと思う。部外者が勝手に出てくるのは良くない。とか言って大切な友達が困っていて、私が気に入っていなかった筈の切原くんが頭を下げてまで懇願して来た。

言い方は悪いけど私は華和さんよりもテニス部の人たちの方がずっと、ずっと大切なんだ。
『更正…絶対させてみせる。私の大切な友達の為に、切原くん達の夢叶える為に、ね』

「みょうじ先輩…」

『だからさ、この事は2人の秘密で良いかな?』

「は? 何でっスか」

『真田くん達まで巻き込んでしまってみんながこれ以上練習に集中出来なくなったら嫌だもん。華和さんと関わるのは私だけにする。だから切原くんは練習に集中してね』

「…アンタ結構良い人なんスね」

『そうかな、私よりも切原くんの方が良い人だよ』


だって真田くん達のことまで考えているのだからね。気付かせてくれてありがとう。


彼女の決断


「あ、そしたらみょうじ先輩は俺の彼女設定で良いっスか?なんか使えそうだし」

『まあそうだね。別に構わないよ』

「よっしゃ!(これでアイツから逃れられるぜ!)」

『?』


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