『おはよう柳生くん』

「あ、おはようございますみょうじさん」



朝テニスコート付近で草むしりをしていたら柳生くんがラケットを持ってやって来た。



「みょうじさんは朝から早いですね」

『柳生くんと一緒で部活だよ。柳生くんは今休憩?』

「…ええ、そうなんです」



ん? なんだか曖昧な返答が返って来たなあ。柳生くんはしっかりした性格の人だからサボる筈はないか。

そんな事を考えていたら、後ろの方から幸村くんが見えた。



『幸村くんおはよう』

「おはようみょうじさん。で、仁王は一体何サボっているのかな?」

「…プリッ」

『え、え?』



何を言っているんだ幸村くん、仁王くんなんてどこにもいないじゃないか。と思っていたが柳生くんが変な言葉を言った瞬間疑問を抱いた。…柳生くんはそんな変わった言葉を言う人だったっけ。



「やっぱり幸村には叶わんのぅ」

「ふふっ、また出直しておいで。すぐ見破ってあげるから」

「今度は完璧にこなしてやっからの」



そう言って柳生くん…ではなくて仁王くんはカツラを脱いだ。確かに、銀髪は間違いなく仁王くんだ。



『…今日は4月1日じゃないのに』

「俺は詐欺師じゃからの。エイプリルフールなんて関係せん」

「仁王は詐欺師だから一年中こんな事をしているんだよみょうじさん」

「幸村は言い方が悪いナリ」

「あはは、そうかな?」



こうやって前にいる2人を見るとよく女の子達が言っていた意味が理解出来る。2人とも綺麗だなあ。



『あ、2人とも部活は良いの?』

「何故か今日に限って朝練にアイツが…華和がいるからの。アイツがどっか行ったら戻るぜよ」

「あ、それ良いね。俺もそうしようっと」

『え? だ、大丈夫なの?』



困惑しながらも尋ねれば、甘ったるい香りをコート中に充満させた所にいるより、草木に囲まれた此処の方が良いらしい。華和さん…ご愁傷様です。



「それに、今日は自由参加だから」

『そうなんだ』

「(おもっきし強制参加じゃったよな…部長の権限は怖いもんじゃ)」それから3人でのんびりと談笑していて、草むしりが放課後まで延びてしまうのは確実だった。





朝練と草むしり



「幸村!一体何処に「ちょっとね」だから何「真田に言う必要があるかな?」……」

「あれ、幸村くん何か機嫌良くなってね?」

「仁王くんもなんとなくですが帰ってきてから調子良さそうですよ」

「なーんか怪しいっスね!」

「被害に合わなくて済むならそれに越した事はないよな」

「…気になるな」





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