またもや休日に従兄弟の家へ行き、寛いでいたら放り出されてしまった。ソファを独占してテレビを観ていたからかな。良いじゃないか、私だって偶には独占を得たい時ぐらいあるんだ。

そうふてくされて歩いていたら何やら商店街が騒がしかった。



「ええやんおっちゃん100円くらいまけてや!」

「100円は流石に…ねえ」

「ワイはたこ焼き食いたいんやあー!」



ぴょこぴょこ跳ねて商店街のたこ焼きのおじさんにねだる男の子は一瞬向日くんかと思ったが、にしては小さ過ぎる。



「ううっ、たこ焼き食いたい…」

『……』

「たこ焼きぃー…」

『…あの、良かったら使ってください』

「! ええの!?」



だってあまりにも可哀想に見えたんだよ君が。でも、キラキラ目を光らせるこの子は可愛いかもしれない。とても素直なんだろうなあ。



「おおきに姉ちゃん!」

『う、うん。気にしないで』



スッゴく可愛い…!

大阪弁が初めて可愛いものなんだと知った。ふむふむ、可愛い子が大阪弁を遣うと愛嬌が含まれるんだ。おおきにー…うん、私には無理か。



「姉ちゃん姉ちゃん!ワイは遠山金太郎言いますー!姉ちゃんは?」

『私はみょうじなまえ。よろしくね、遠山くん』

「よろしゅうよろしゅう!なまえー、ワイは金ちゃんでええよ!」



ずきゅん!

あああ、可愛いよ金ちゃん。越前くんも可愛かったけど、素直な金ちゃんも癒される。なんでかな…私の周りには可愛い子が多すぎるような気がするよ。



「なまえほんまおおきに!」

『いいえー。転けないように気をつけてね』

「おん!」





野生児と平凡



『…あんなに可愛い大阪弁は初めてだったなあ』

「「ぶえっくし!!」」







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