「来てくれてありがとうみょうじさん」

『はっ、はい!』

「あら、そんなに固くならないで。貴女を痛めつけるとかするわけではないから」


ふふっ、と私の前で綺麗な笑顔を向けるのはどうやらファンクラブの会長さんらしい。


「私の名前は倉伏千鶴。ファンクラブの会長を務めさせていただいているの……早速だけど依頼内容を説明してもよろしいかしら?」

『はい』


急に真剣な顔を見せる倉伏会長さん。内容はやはりテニス部関係だろうか。


「テニス部のマネージャー、華和依子をテニス部を辞めさせてほしいの」

『華和さん…を、ですか?』


そう言えば倉伏会長さんはこくりと縦に頷いた。確かに華和さんのやっている事に良い風には思えない。


『ですが…力尽くで辞めさせるのもどうかと……』

「みょうじさんの言い分は分かるわ。だけど、あのまま華和依子がいればテニス部は本当の力が発揮されずに終わってしまうかもしれないの!!」

『! 倉伏会長さん…』


ここまで切羽詰まっていたとは知らなかった。よく考えればそうだ。真田くんだって、桑原くんだっていつも練習に満足していないと言っていた。私はただ、彼らの隠れたヘルプサインに気付いていないだけだった。


『……少しだけ時間をいただけますか?』

「ええ、分かったわ。いい返事を待ってるね」


私は何も言い返すことが出来なかった。


ファンクラブからの依頼


「一番彼らと親密に貴女ならきっと……分かってくれるよね」





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