これは修羅場と言っても良いのだろうか…。


「だから俺はアンタなんかと付き合ったつもりなんてねーって何度も言ってんのが分かんねえのかよ!」

「だからそれは照れてるからなんでしょう?」

「俺はアンタなんか大嫌いだ!!」

「とか言って本当は好きなく・せ・に」

「マジで日本語通じねえ!」

「え、依子日本人だよぉ?」

「うぜぇぇえ!!」


本当に日本語通じてないよ。華和さんは一体どんな耳をしているのか不思議だ。因みに私は何でも部の活動中(花壇の草むしり)であり、そんな事を知らず2人は揉め合っている。私ってそんなに存在が空気なのかな…。


「付き合った記念にデートしようよ!」

「だから付き合ってねえって言っただろうが!お…俺は他の奴と付き合ってんだ!!」

「え…?嘘でしょ!?」


たぶん切原くんは華和さんの言うとおり嘘なんだと思う。何故なら慌てている華和さんを見て思いきりガッツポーズしてるから。あ、この草手強い。
「だ、誰よ!?誰と付き合ってんのよ!」
「はあ?何でアンタに言わなくちゃなんないんスか」

「誰か分かるまで依子認めないんだから!」


華和さんも考えたね。案の定切原くんは図星で困って……いな、い?あれ、本当にいるんだ。そうだったら一番可哀想なのは被害にあった切原くんではなくてその彼女さんなんだなあ…。


「見れば本当に諦めてくれるんスか?」

「そ…そうよ!」

「ふーん、言ったからには約束守って貰うんで」


勝ち誇った表情を見せる切原くんに歪んだ表情の華和さん。これ以上聞いてしまうのも失礼だし、草むしりも終わったからその場から去ろうとした。

だから、まさかこんなハメになるとは思いもしなかった。


「俺の彼女はあの人っス。ですよねみょうじ先輩!」


後輩とトリップ人と平凡


『……私ではないよね。他にも同じ苗字の人は沢山いるし』
「なーに先輩逃げてるんスか!照れなくても良いのに」

『本当に私なの…!?』





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