昼休み、私はころんが怪我の様子見で病院に行ったため、誰と食べようか悩んでいたときに真田くんに呼ばれた。


「みょうじ…悪いが一緒に屋上に来てくれぬか?」

『うん、いいよ』

「弁当も持ってこい」

『! ありがと』

「礼などいらん。行くぞ」


真田くんは気遣いが出来る良い人だ。私が悩んでいたのを瞬時に判断したのだろう。真田くんの優しさに自然と笑みを浮かべながら彼に着いて行った。



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「仁王その肉くれぃ!」

「嫌に決まってんじゃろ」

「丸井先輩のグラタンもーらい!」

「行儀が悪いですよ丸井くん切原くん」

「ちぇっ、じゃあジャッカルそれくれよぃ」

「じゃあの意味が分かんねーよ!」

「今日も仁王は焼肉か」

「騒がしいったらありゃしないね」


「遅くなった」

『え、え?これ…入っちゃ悪い感じじゃない私?』


屋上の扉を開けばテニス部の知っている人ばかり。私だけ異端過ぎる。この中の輪に入ろうとするほど馬鹿ではない。


「? 何を立ち止まっているのだみょうじ」

『や、あの…私邪魔だよなあって。やっぱり教室で食べるよ』


天敵のもじゃもじゃくんもいることだしね。きっと彼は絶対私なんかが居れば機嫌が悪くなるに違いない。


「ふふ、そんなに謙虚にならなくても良いんだよ」

『でも…』

「みょうじみょうじ!これでチャラにしてやるからこっちに来いって!」

「一体どういう風の吹き回しじゃブンちゃん」

「そうですよ。遠慮なさらずに」

「……」

「赤也も俺も気にしないぞ」

「ちょ、柳先輩!」

「本当のことだろう?」

「俺も良いぜ!」


真田くんだけ優しいんじゃなくて、テニス部のこの人たちも優しいんだ。なんだか心がぽかぽかする。躊躇いながらも、私は真田くんと柳生くんの間に座らせていただくことにした。その際丸井くんが何で俺の隣に来ないんだよぃ!と怒鳴られて少し焦った。


屋上ランチ


『本当に割り込んでごめんね…』

「そこは謝らないで欲しいな?」

『! あ、ありがとう!』





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