ひらひらと枯れた葉っぱが落ちるこの季節は私が一番好きな季節だ。理由は特にない。強いて言うなら食欲の秋という言葉が私にぴったりだから。



いちょうの木は真っ黄色。とても綺麗で思わず写メってしまった。銀杏が地面に落ちて異臭を放っているのが玉に瑕だけど。



『それでもやっぱり綺麗だなあ』

「俺を呼んだんはお前さんか?」



後ろから声がしたので振り向けば、髪色が派手な男の人。はて、私はこの人を呼んでいただろうか。



『いえ、多分人違いだと思います。私は只いちょうの木を見惚れていただけなので』

「ほぉ…そりゃすまんかったな、邪魔したの」

『いえいえ、私がややこしい場所にいたんで…「仁王くん待たせてごめんねぇ?」あ、私は失礼します』

「おう」



私は銀髪さんと直ぐに別れ、家へ帰ろうとする。だが、部活動の様々な音が耳に入り少しだけ部活動を回ろうと思い、寄り道しながら帰ることにした。



「おっせえぞ仁王!さっさと帰ってくんじゃなかったのかよ」

「今回の奴はなかなかしつこかったんじゃ」

「?その割には機嫌は悪くないっスよね」

「ああ、ソイツが来るまでに変わった奴を見つけたからの」

「へぇー、どんな奴だったんだよぃ?」

「いちょうの木を見惚れていた女」

「「は?」」

「さあて、部活じゃ」



銀髪の彼が私の話をしていたなんて私は知る由もない。



食欲の秋



『部活動…何に入ろうかな』





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