あれからもじゃもじゃくんは何か急な用事を思い出したようで、「やべっ!真田副部長に呼ばれてんだった!!」と言って去っていった。真田くんなら私と一緒で移動教室だから、もじゃもじゃくんとは反対方向に行った筈なんだが…彼は私が言う前に先に行ってしまったので言わず終いだった。


『もう直ぐチャイム鳴っちゃうかな』


私は少し急いで未だに慣れない校舎の中を小走りした。


「なまえ遅かったねー」

『ころんはまた遅刻したんだね』

「えっへん!」

『威張るところじゃないよね』

「今日で遅刻回数が二桁になったんだ」

『それはある意味でスゴいけども』

「しかも今年だけで!」

『それじゃあもう高校の推薦無理じゃん』

「あ…」


明らかに今初めて気づいたような表情を見せるころん。せっかくバスケ部は成績も残しているのに何とも残念な事をしたなと思う。ちなみに私は皆勤賞を狙っている。


『残念だね』

「うぐ…っな、何とかなるさ!」

『そのポジティブ精神羨ましいね』

「ああああのさ!何でなまえさっき遅かったの?」


無理矢理話を変えたね。


『もじゃもじゃくんと少し対決していたんだ。今回は私の勝ちだったよ』

「も…もじゃもじゃ?」

『うん、テニス部の1年生だったかな』

「……それって切原赤也じゃない?」

『分かんない。名前知らないんだ。あ、もじゃもじゃくんが真田くんを捜していたんだった』

「なら教えてあげた方が良いんじゃないかな?」

『そうするよ』


私はころんから離れ、真田くんへ向かった。


「もじゃもじゃって…絶対切原赤也しかいないよなあ」


ころんが呟きは周りの騒がしさで消えていた。



遅刻魔と皆勤狙い


『真田くん』

「何だみょうじ?」

『もじゃもじゃくんが真田くんを捜していたよ』

「む、そうか。ありがとう」

『いえいえ』

「(もじゃもじゃで通じるんかい!!)」




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