「なまえー!」

『ころん走っちゃ危ないよ』


骨折したころんは器用に松葉杖を使い廊下を走っている。普通なら少し頑張ればへばる所なのに…流石バスケ部、体力あるなあ。


「だってなまえが撮った写真が校内新聞に載っているんだもん!見たい見たい!」

『…ははっ、ころん可愛い』


怪我をしているのに私の初依頼を見てみたいと興奮している彼女は女の私から見ても本当に良い女の子だと思う。何でころんに彼氏が出来ないのか不思議だ。


「うわぁ…めちゃくちゃ人いるじゃん!」

『あんまり見ないでほしいんだけどなあ』


おもっくそ素人が撮った写真ってバレるではないか。恥ずかしい思いが込み上げてきて顔が熱くなってきた。うう…顔を上げたくないな。


「お、みょうじ」

『え?』

「覚えとらんかのぅ?」

『あ…仁王くん!』

「正解じゃ」

「仁王ー此処うるせえかr…あー!コイツ、トイレ女!!」

『ト…!?失礼です赤髪さん!』


仁王くんの後ろから現れたのは前に華和さんのノートを持っていた赤髪さん。そんなに大きい声で言わなくても良いじゃないか!


「コイツだって仁王!ノートの女!」

「あー…華和の件か。まあ、みょうじならありえそうじゃの」

「仁王知り合い?つーか赤髪さんってそのまんまだし!」

『いや、その…すみません無知で』

「は、お前俺のこと知んねーの?」

『…すみません』


何このただならぬ空気。幸いに女の子達は新聞に釘付けで少し離れた私達には気付いていないらしいが、赤髪さんの視線だけでやられそうだ。


「なまえどこー!?」

『あ、すみません友達が呼んでいるので…失礼します』

「ちょ、待てよぃ!」

「じゃあのみょうじ」


ころんは救世主(メシア)だ!



校内新聞


「何で俺のこと知んねーんだよぃ…」

「ぷぷっ、ブンちゃん自意識過剰ぜよ」

「うぜっ、むちゃくちゃうぜえ!」

「プリッ」




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