『え、新聞部から依頼…ですか?』

「そうみたい。どうもこの依頼はみょうじちゃん宛だけど…初依頼受けてみる?」

『む、難しくないなら…』


コレが10分前の会話。私は今、男子テニス部の部室にいた。


『で、新聞部は何の依頼をされたんですか?』

「んーとね、校内新聞で載せる写真を撮りたいらしいんだけど、男子テニス部の写真だけは撮らせて貰えてないんだって」

『なんでですか?』

「裏事情ってやつさ。だから真田と仲良いみょうじちゃんに依頼したんじゃない?」

『?』


イマイチ部長さんの裏事情とかが気になって仕方がないけど、真田くんに言ってみたら"分かった"の一言だった。…私じゃなくてもいけるでしょう新聞部さん。


「みょうじさん、話は弦一郎から聞いたよ」

「初依頼らしいな」


目の前には幸村くんと柳くんと真田くん。うわあ…みんな背が高いよ、首が痛いや。


「みょうじ、体操服はあるか?」

『え?一応持ってるけど…』

「なら、それを着てコレを被れ」


渡されたのは鬘。え…コレはツッコミを入れるべきなのだろうか。鬘は鬘でも明らかこれは男子並の髪の長さだ。


『私の性別は女なんだけど柳くん…』

「それぐらい知っている。お前はファンクラブを敵に回したいのか?」

『! そういう事か…ありがとう柳くん』


お礼を言えば、柳くんはふっ…と笑い「礼なら仁王に言え。その鬘はアイツのだからな」と返された。うん、分かったけども…どこかで聞いたような苗字だけども仁王くんって誰?


「くれぐれもボールには気をつけるのだぞみょうじ」

『うん、気をつけるし邪魔はしないよ』

「ありがとう、よろしくねみょうじさん」


私はテニス部の部室を出てトイレで着替え、恐れ入りながらもトレーニングシューズでコートへ入らせて貰った(体操服にローファーは似合わないし、何よりコート内に運動靴以外入るのは失礼だ!と従兄弟達から教わった)。


『初依頼、がんばろう』



初依頼


『…今更ながらだけどデジカメでも良いかな?うん、いっか』

「ふむ、みょうじは案外適当…と」





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