昨日の夜はひどかった。"何故みょうじがそんな情報を知った"とか、"詳しく経路を教えろ"とか、"お前は運の良い奴だな"とか……最後に関してはイヤミなのかは分からないけど、電話越しで良かった。メールだったら絶対説明しにくかったし、対面で言うのも気が引ける。うん、電話で良かった!


『って、そんな事考えている場合じゃなかった』


私は今ころんのお見舞いの品を買いに行く最中だった。ころんは昨日の夕方、部活が終わり階段を1段飛ばしで下っていたときに滑って転けてしまい、足を骨折したらしい。何ともころんらしい。

だから今日は学校を休んでいたから私は花屋に寄って、どうしようか悩んでいたのだ。かれこれ30分はいる気がする。


『花って全然詳しくないからなあ…』

「それはコスモスだよ」


適当に見ていたら後ろから透き通った声がした。ばっと振り向くと、何時だったか見たことがある人だった。


「コスモスは丁度今の季節にピッタリなんだ」

『へえ…そうだったんだ。だから秋に桜って書くんですね』
「ふふ、そうだよ」


綺麗に笑う人だなあ。よく見れば男の人だけど、女の私よりずっとか美人で綺麗だ。自分で言って悲しいけどね。


「コスモスも綺麗だけど、俺はダリアの方が好きかな」

『だりあ?』

「ほら、あの大きな花」


指を指された方へ目を向ければ、一輪がとても大きくて真っ白な美しい花だった。


『うわっ…私は花とかには全然興味ないけどダリアってすごい綺麗ですね。初めて花に感動しました』

「ははっ、それは言い過ぎじゃないかな?まあ、でも俺はダリアはオススメするよ」

『じゃあそのオススメを買わさせて貰いますね。わざわざ教えてくださりありがとうございます…えっと、な、名前…教えて頂けますか?私はみょうじなまえと言います』

「俺は幸村精市だよ。よろしくねみょうじさん」

『はい。ありがとうございました幸村くん』


じゃあまたね。と花屋を出て行く彼、幸村精市くんと言う彼の名前に引っかかった。確か真田くんや柳くんが名前をよく出す彼の名前も幸村とか精市とかだった。……そうだ、前一度私は彼を見たことがあった。


『テニス部の部長さんか』



花屋とテニス部部長


「ふふっ、蓮二の言うとおり…変わった子だなあ」





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