「みょうじみょうじー!」 『ま、丸井くんどうしたの大声だして…?』 「ちょ、マジで助けてくれよぃ!!」 『えええ…一体なに?』 「今日俺裁縫道具を忘れてさ、幸村くんところに借りに行ったら…」 『あ、それは女物だね』 「華和の奴が押しつけてきた…!」 『それデジャヴじゃない?』 たしか初対面の時もそんな事だったよね?と問えばそんな事忘れたと速答で返された。なんか空しい…。 「だからこれ、返して来てくれ!」 『え、やだよ』 「なんでまたそーやって冷てーんだよぃ!」 『だって私だって華和さんはその、苦手だし…』 「え、えええ!?」 『だからこれは前にも言ったよ!』 「そ…そっか」 明らか凹む丸井くんを見ると、周りから丸井くん可哀想などと声がちらほら聞こえる。 よく考えてほしい。忘れ物をした丸井くんが一番悪い筈なんだけどな。 『はあ…分かったよ』 「! マジで!?」 『マジでだよ。そのかわりもう忘れ物はしないでね、約束だよ』 「するする約束する!」 『なら良いよ』 「サンキューみょうじ! だいすきだぜぃ!!」 最後に彼は爆弾を落としていきました。 忘れ物と懇願 『(無邪気な顔していきなりだいすきだなんて…さすがに照れる)』 「顔あけーけどどーしたんだよぃ?」 『な、なんにもないです』 「? 変な奴ー」 . |