「みょうじみょうじー!」

『ま、丸井くんどうしたの大声だして…?』

「ちょ、マジで助けてくれよぃ!!」

『えええ…一体なに?』

「今日俺裁縫道具を忘れてさ、幸村くんところに借りに行ったら…」

『あ、それは女物だね』

「華和の奴が押しつけてきた…!」

『それデジャヴじゃない?』



たしか初対面の時もそんな事だったよね?と問えばそんな事忘れたと速答で返された。なんか空しい…。



「だからこれ、返して来てくれ!」

『え、やだよ』

「なんでまたそーやって冷てーんだよぃ!」

『だって私だって華和さんはその、苦手だし…』

「え、えええ!?」

『だからこれは前にも言ったよ!』

「そ…そっか」



明らか凹む丸井くんを見ると、周りから丸井くん可哀想などと声がちらほら聞こえる。

よく考えてほしい。忘れ物をした丸井くんが一番悪い筈なんだけどな。



『はあ…分かったよ』

「! マジで!?」

『マジでだよ。そのかわりもう忘れ物はしないでね、約束だよ』

「するする約束する!」

『なら良いよ』

「サンキューみょうじ! だいすきだぜぃ!!」



最後に彼は爆弾を落としていきました。





忘れ物と懇願



『(無邪気な顔していきなりだいすきだなんて…さすがに照れる)』

「顔あけーけどどーしたんだよぃ?」

『な、なんにもないです』

「? 変な奴ー」






.

- 84 -


prev|next




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -