私は特技もなければ趣味もない何もないさみしい人間だ。自分で言ってて悲しいけど本当のことだから仕方ない。

だからといって何も出来ないと勘違いはしないでほしい。



ペコッ

『やっ…た!』

「げっ、負けた…」



ころんと体育でテニスの試合をしてギリギリ私が勝った。かなり打球音がへなちょこだけど、やっくんの口癖「勝ったもん勝ち」かな。



「なまえフォームだけは綺麗だね」

『ほんと? フォームだけってなんか微妙だけど嬉しいなあ』

「あとサーブもかっこよかった!」

『たぶん教えて貰ってるからかな』

「へぇー、切原赤也に?」

『え、切原くんじゃないよ?』



従兄弟がテニスしてるんだ、と答えればふーんとまた微妙な反応を示された。なんか切ないぞ。



「従兄弟って強い?」

『なんか有名らしいよ』

「ほー、あたしでも知ってそう?」

『どうかな…氷帝と四天宝寺って知ってる?』

「し…」

『やっぱり県外は知らないよねー』



そうぼやいていたらころんは私の両肩を思いきり掴んできた。何々、痛いよ!



「今年全国に出てる学校じゃん!」

『あ、確かそー言ってたなあ』

「ヒドッ!従兄弟の試合応援行かないの?」

『だってやっくんもしぃちゃんも来なくていいって言ったから…』

「で、そのやっくんとしぃちゃんのフルネームは?」

『おした…「え、もしかして忍足侑士と忍足謙也!?」まだ最後まで言ってないよ』



まあ、そうだよ。その一言でころんは叫びだした。先生が凝視してるよ、怖いよー。



『有名になったんだねえ2人も』

「ちょ、マジでなまえの家系にビックリした」

『この事なんて別に言う必要なかったもんね』

「なまえ」

『なに?』

「絶対に他の女にその事は言っちゃ駄目だよ!」

『ん? まあ、言ってどーこーなる訳じゃないし…言わないよ』

「よし」

『?』





ある日の体育



「じゃあなんで従兄弟がいるのにテニスのルール知らないの?」

『あの2人が一緒になると勝手に試合してたから私は放置されてたんだ』

「…なんか可哀想だね」

『慣れてるから大丈夫だよ』

「……」






.

- 79 -


prev|next




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -