切原side

「みょうじせんぱ「なまえーっ!!」…っちぇ」

実を言うとさっきからこの調子。忍足さんたちの従姉妹と知った今、みょうじ先輩は前よりも他の奴らに絡まれるようになった。

それよりも俺や先輩たちが知らない間に他校の奴らと交流があったのも1つの理由かも知れねえ。けど、俺は何故かそれに少し気にくわなかった。


「表面上でも俺が」


彼氏なのに。その言葉は心の中でしか言えなかった。だって、本当はみょうじ先輩…嫌がっていたかもしれない。そう思うと、段々負の感情が芽生えてきた。


「…馬鹿みてー」


みょうじ先輩はみょうじ先輩だ。
きっとあの人は特に何も考えてない。勝手に変に考えてるのは俺だけ。


『切原くん』

「先輩…っ」

『さっきはごめん、切原くん呼んでくれたのに直ぐに駆けつけられなくて』

「っ、別に大したことじゃないんで大丈夫っスよ」


それよりも後ろの方にいる四天宝寺の従兄弟さんと話してたら?と皮肉な言葉を発してしまった俺に、みょうじ先輩は苦笑いしていた。


『切原くんが先に話かけてくれたでしょ?』

「…でも忍足さんは従兄弟だし」

『わたしは切原くんが話かけてくれて嬉しかったのに』

「! みょうじせんぱ、」

『今日も練習と試合お疲れさま。切原くん前よりもサーブが早くなってなかった?』

「…みょうじ先輩っ!!」

『うぐっ』


俺の気持ちを理解していてくれてたのかは知らねーけど、従兄弟よりも俺を優先してくれて、俺をちゃんと見ていてくれて、いつものこの人の笑顔を見せてくれて…何もかもが積み重なって迷わずみょうじ先輩に抱きついた。

西の忍足さんがめちゃくちゃ怒鳴ってる声が聞こえてるけど、そんなの知ーらねっ!


拗ねる後輩と平凡


「切原お前っ、なななな何抱きついとんじゃあ!!」

『やっくんうるさっ…! それと切原くん首は死ぬっ』

「先輩大好きっスー!!」









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