ある日、俺忍足謙也はとあるDVDを発見した。興味本位で観てみると、俺たち従兄弟3人が保育園に通っていたころぐらいだった。

うるさい俺と侑士、それに比べてこの時から唯一女の従姉妹であるなまえは随分大人しかった。

そんな俺となまえの会話が録られていた。



「なあなあなまえ、なんでいっつもげんきやないん?」

『? なまえはいつもげんきやで』

「こえちっこいこはげんきやないっておとーいうてたもん」

『そんなことないし。なまえこえちっこくないもん』



今思えばなまえなりに声を出していたのかもしれん。つーかあん時のなまえ関西弁使てたし、一人称が名前やったなあ。ちゅーか俺らむっちゃかわええな!




『やっくんもしぃちゃんもうるさいからなまえがちっこく聞こえるんや』

「おれゆーしといっしょなん?」



どうやら俺はこの時から侑士をライバル視していたらしく、侑士ワードに若干眉をひそめていた。何で競っていたかなんて昔のことやから覚えてないけど、大方どっちがなまえに好かれるとかやったと思う。

まあ、懐かしいの一言に尽きる。



『やっくんはなまえとちがってていいんや』

「なんでなん?」

『やって、なまえといっしょのやっくんやったらいまのやっくんおらんくなるやん』

「いっしょのおれはなんでアカンの?」

『いまのやっくんがなまえすきやもん』



昔からしっかりしてて、身長はちっこいし声もちっこい大人しいなまえやけど、いつもなまえは自分の考えはちゃんと持っていた。それをはっきりと口に出してくれるところがなまえの良さであって、俺や侑士の無いところ。

こーゆー性格のなまえは俺も侑士も惹かれる部分であるし、羨ましいとも思う。



『やっくんもしぃちゃんもなまえもみーんなちがうからいいんやで』

「じゃあなまえはみーんなすきなん?」

『んー、どーやろ…けどおとーさんとおかーさんとやっくんとしぃちゃんはすき!』



あとおじーちゃんとおばーちゃんとおじさんとおばさんと…ってつらつら答えるなまえの隣には嬉しそうな俺の顔。

そら好きと言われて不快な表情するわけないけど、本当に嬉しそう。もちろん、俺らにカメラを撮してる俺の両親やなまえの両親の喜びの声が聞こえる。そして映像がプツリと消えて終わった。

なんだかんだで忍足家とみょうじ家は幸せに過ごして居たんやと改めて実感した。



「久しぶりにメールやなくて電話しよ」





保育園の従兄弟たち



『もしもし、やっくんが電話なんて久しぶりだね』

「そやろ? ちゅーかなまえ、さっきなおもろいもん見つけてん!」

『へぇ、どんなの見つけたの?』

「それがな!………」



結局3時間ぐらい話してた。






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