「「なまえはおるか!?」」


私はこの場を切り抜けようと必死に思案中です。や…だって、華和さん中心に周りの視線が痛いから。


「君たちが言ってるなまえはもしかしてみょうじなまえさんのことかい?」

「それよりお前らはいつまで俺様たちを待たせたと思っているんだ!」

「確かにそれは跡部くんに同意やわ。謙也も忍足くんも人様に迷惑かけたらアカンやろ」

「スマン! それは悪かった!」

「で肝心のなまえは…あ、あれちゃうか謙也!」


あまりにも恥ずかしい登場の二人に私は些細な抵抗をと、カーテンにくるまっていたが…結局は無駄だったみたい。


「「なまえ!」」

『う、わっ』


カーテンをぐるぐるされて若干目を回らせていたら目の前には血の繋がった…


『し、しぃちゃん…とやっ、くん…回しすぎ』

「なまえやーっ! めっちゃ久しぶりやわー!!」

「来るなら来るって言うてや。むっちゃ驚いたやんけ」


私を見つけたやっくんは思いきり抱きしめ、しぃちゃんは迷子だった子どもを見つけた母親のような感じで頭を撫でられた。

締め付けが苦しいし、何より恥ずかしい。


『ご、ごめ……ぐるじっ』


とりあえずこの状況イヤだ!!


ーーー
ーーーーー


「なんや、そーゆーおいしい事やったん!」

『べつに大した事じゃないよ』

「だったら言ってくれれば良かったじゃないっスか〜」

『や、だってどーでも良いからさ』

「従兄弟になんちゅう酷い事言うんや!」

「ほんま今回はビビったからな」

『偶然は重なるもんだよ』


チューとストローでジュースを飲む。にしても合宿で従兄弟と遭遇ってなんかヤダなあ。


「…みょうじさんってがっくんや蔵と知り合いな癖に侑士と謙也とまで従姉妹なんだあ〜。へぇー」


隣が華和さんなのがまたとてつもなくイヤだ。いや、このタイミングで隣がイヤなだけなんだけどね。なんで食事でこんなにツラい思いをしなくちゃいけないんだろう。


「ユーシの従姉妹なら関西弁使えんのか!?」

『あー、えっと…ビミョーかなあ』

「なんだそれ。意味わかんねーよぃ」

「なまえは大阪よりも関東の方が住んでた時期が長いねん。やから今関西弁使てもイントネーションが異なるやろ」

「忍足に聞いてねーし」

「そら悪かったなあ」

「…ちぇっ」

『えええ、もうほんと嫌だよこの席。真田くんの隣行こう。駄目かな幸村くん』

「ふふっ、駄目」

『……』

「あ、ちゅーかなまえ。俺岳人たちと仲良うなったなんて聞いてへんで」

「それやったら白石のこともや! どーいうこっちゃ!」


午後の練習が始まるまでに疲れきって生きているのだろうか心配です。


彼らの知らない彼女3


「他校との交流が羨ましいって何処がなんだろうね」

「あんなにも交流があったとは完全にデータ不足だった」

「もしかしたら仁王くんよりも謎が多いかもしれませんね」

「プリッ」

「にしても今度は丸井が拗ねて…ああ、ややこしい事に」

「食事中は静かにせんか!」




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