は…?
全員の視線がそこに向けられる。

彼女はその視線に気付いていないのか、それとも気付いてはいるが気にしていないのかつかつかと神田の方に歩み寄る。
そして無残な姿に成り果てたパンケーキを神田の前へ突き出した。


『神田くーん?見てみろよコレ。あんたのせいであたしのパンケーキがこんな無残な姿にィィィ!!』

「…知るかよ」

『んだとてめェェェ!!そのどっかの電波のような暑っ苦しい髪の毛刈り取ってやろうかァァァ!!』


「あげはそれチェーンソォォォ!!」


どこからだしたのかチェーンソーを掲げ叫ぶあげはをラビが羽交い絞めにする。
さすがの神田もあげはの行動についていけてないのか固まっている。

これはこれでヤバいんじゃないのか…?
全員がそう思い始めた頃、


「あげはちゃーん、頼まれてたケーキできたわよー」


厨房からジェリーが呼びかけた。
先程まで神田を殺しそうな勢いで暴れていたというのにピタリと止まるあげは。


『きゃ…』

「きゃ?」

『きゃっほォォォ!!』


ビクッ
声を上げるあげはにラビは思わず手を放す。
さっきまでの雰囲気はすっかり消え、チェーンソーを放り投げたあげははジェリーからケーキを受け取り、その辺の空いている席に座った。


『いただきまーす』


パンケーキのことはどうでもよくなったのか呆然とあげはを見つめる一同に目もくれることなく食べ始める。


「(…あげは、朝からワンホール食べるんさ?)」

「(ワンホール…)」

「(ワンホール食う気だ…!)」


全員の心が一致した瞬間だった。

すっかり毒気の抜かれた一同はそれぞれ自分の食事に意識を向け始める。
神田も食べ終わった蕎麦のトレーを片付け、食堂を出ていった。

――――


『あーおいしかった』


糖分もしっかりとれてイライラの収まったあたしは隣のラビを見る。
ラビはぐったりとテーブルに突っ伏していた。


『…やけに疲れてるね』

「誰のせいだと思ってるんさ…」


え…あたし?なんかしたっけ?
うーん…と考えていたら食堂にリーバーさんが入って来た。


「あげは、ラビ、任務だ。室長室に来てくれ」


リーバーさんの言葉に軽く返事をして食堂を出る。
室長室に入るとそこにはコムイと神田がいた。


『すいません、チェンジで』

「入ってきて最初の言葉がそれ!?」


だって神田と一緒なんか嫌だ、と言えば神田がそれはこっちのセリフだと言ってきた。
睨み合うあたしたちを止めるようコムイがソファーに座るよう促した。
あたしたちが喧嘩するので間にラビが座った。

あたしたちが座ったのを確認して、コムイは口を開いた。


「それじゃあ、今回の任務の概要を説明するね」


これがあたしの初任務。



朝から一騒動

(てかまたこのメンバー?)
(慣れてる人の方がいいと思ってね)


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