一通りの説明が終わったところで、回収したイノセンスをコムイに渡す。
それを受け取ったコムイを見てから、リーバーさんが口を開いた。
「あげは。部屋はリナリーに案内してもらってくれ」
『りょうかーい。じゃあね、リーバーさん、コムイ』
「ちょっと待って、なんで僕だけ呼び捨て!?」
『呼び捨てで十分だとあたしの脳が告げてるから』
落ち込むコムイをしり目にあたしたちは室長室を後にした。
リナリーに部屋まで案内してもらうついでに、食堂やら風呂やらの場所も教えてもらう。
室長室を出たと同時に神田は自室に行ってしまったので、今はあたし、リナリー、ラビの三人だ。
「ここがあげはの部屋よ。自由に使ってくれて構わないから」
『おおー、ありがとー』
部屋の中はちゃんと掃除されているようで、なかなかきれいだった。
ベッドもある。
…あれ、なにげベッドで寝るの初めてかもしんない。
そんなことを考えていると、
ぐううぅぅっっ〜
突然廊下に変な音が鳴り響いた。
「「………」」
『………』
二人の視線があたしのお腹に向けられる。
『ア、アハハハハハハハ……はぁお腹すいた…』
「デカい腹の音だったさ」
『うっさい!ここに来てから何も食べてないんだよ、あたしァ』
「フフ、じゃあ食堂に行きましょ」
リナリーに笑われたことで、少し恥ずかしく思いながらもあたしたちは食堂に向かった。
なんでもここの料理長は基本何でも作れるらしい。
じゃあ甘味とかたくさん作ってもらおうかな。
久しぶりの糖分大量摂取のチャンスににやけが止まらなかった。
PS.ジェリーさんの料理は最高でした。
――――
『はぁーつかれたぁ』
あたしは先程与えてもらった自室のベッドにダイブする。
なんだかんだでここに来るまでにいろいろあったな。
AKUMAに遭ったり、イノセンス見つけたり。
いろんな意味であっちの世界に負けないくらい騒がしい世界だ。
だけど、あっちと比べたら…
『あーもう!余計なこと考えんな、あたし!!』
一人になると自然と何かを考えてしまうもので、さっきまで微塵も頭になかったあっちの世界のことが気になって仕方がない。
だけどこの状況であっちがどうとかこっちがどうとか言っていられない。
冷静になって物事を考えなければ…。
『さて、どうやって帰ろうかねェ』
目を瞑って呟く。
疲れていたのか、瞬く間に睡魔に襲われあたしは夢の中におちていった。
瞼の裏にはあの銀色が輝いていた。
世界に葛藤(……あげはすごい食べっぷりね)
(甘いモンの量が半端ないさ…)
<あげはの糖分摂取量に二人が若干引いていたのは秘密>
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