まだなんか言ってるラビを無視して前に出たあたしはその辺に落ちていた木の棒を拾い上げた。
そして目を閉じ、神経を尖らせる。

集中しろ、気配を感じろ
―――目の前のものをぶった斬れ

あたしは静かに目を開ける。


「……っ!(すげー殺気さ…)」


集中しているあたしは一言も言葉を発さず、木の棒を構える。

一閃。

瞬間津波が縦に真っ二つになり、あたしたちの両脇をすり抜けていった。


「…すげ」
『木の棒って意外と切れるモンなんだね…ってあ゛!』
「!?急に何さ!?」
『イノセンスは!?』
「あ、」


津波のせいですっかりイノセンスのこと忘れてた。
何も考えずに斬ったから巻き込まれてなきゃいいけど…。

そう思いながらイノセンスの方を見ると、さっきと変わらずに輝いていた。
あれ…でもさっきとなんかちょっと違う?
何故か違和感を覚えたあたしはイノセンスのに触れようと手を伸ばす。
ラビに止められたが、大丈夫、と言ってイノセンスに触れた。


『…あ、取れた』
「マジか」


ラビの時とは打って変わって容易く持つことができた。
なんでかは分からないけどミッションクリアってことで。

イノセンスを取ることに成功したあたしたちは神田の方に向かう。
神田はすでにAKUMAたちを倒していた。


『うわっアンタ返り血ヤバいよ』
「ほっとけ」
『血も滴るいい男(笑)』
「馬鹿にしてんのかテメーは」

「二人とも喧嘩してないで早く帰るさー」


あたしたちが睨み合っている間にラビは出口の方に向かって歩き始めていた。
だから仕方なくラビの後を追った。

出口に向かって歩いている時、2人の背中を見てふと思った。
なんやかんやでこの2人と行動してたけど、この後どうしようか。

『成り行きでアンタらと行動してたけどさ、イノセンス取ったしもう終わりかー』
「何で?」
『イヤ、何でって…。だってあたしエクソシストじゃないし、てかこの世界の人間じゃないし。』
「異世界から来たのに行くとこあんのかよ」
『………』


神田に言われて気づいた。
あたし帰る場所ないどころか帰り方すらわかんないじゃん。
必死にこの後どうしようかと考えていれば、ラビから予想外の一言。


「俺らと来ればいーさ」
『え、』
「あげははイノセンスの気配がわかるんだし、教団に来ても何も問題ないさ!」


な?ユウ、と神田に同意を求めるラビを見つめる。
神田は反対しそうだな。
そんなことを思っていたら、神田と目が合った。


「…好きにしろ」
『いいの!?』
「ほらな?じゃあ決定さー!!」


紅藤あげは、どうやら住む場所が決定したようです。



新たな居場所

(今からどこに行くの?)
(黒の教団さ)
(へー(なんか悪の組織みたい))


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