「まあでもあげはの言う通りさ」
『でしょ?』
「………チッ、行くぞ」
『ねえ、今舌打ちした?ねえ、したよね?』
「うるさい女だな」
『ンだとコラ』


それからラビが仲裁にはいるまであたしたちの言い合いは続いた。

――――

ここは洞窟の中。なんだか空気が張りつめている。
……ここは嫌だな。
もともと暗いとこが好きではないあたしは気を紛らわそうとラビに話しかける。


『ラビー』
「んー?」
『あんたらが捜してるイノセンスってやつとAKUMAはなんか関係あるの?』


あたしがそう問いかければラビが、そうさ、と言った。


「AKUMAはイノセンスでしか倒せない。だから俺たちは千年伯爵たちより先にイノセンスを見つけて保護するんさ」
『なるほどねー』


千年伯爵とはAKUMAの製造者で世界終焉の計画を立てている奴のことらしい。
世界終焉って…とんでもない奴がいたもんだ。
…あ、こっちにも世界を壊すとか言ってるやつがいたわ。


「…そういえば俺も気になることがあったんだっけ」
『ん?どうやってあたしがラビの財布盗んだかってこと?』
「盗んだの!?」
『冗談だよ。盗んだのは土方さんのだから』
「盗んだの!?」


てか、土方って誰?、と聞く彼に、ムカつくマヨラーだよ、と答えて本題に入るよう促す。
その際に、誰のせいさ…、と言われたが笑って流した。


「…あげはがさっき言ってたトリップってどういうことさ?」


ラビの質問にさっきまで前を歩いていた神田も振り返る。
そういえばまだ言ってなかったなー。
そんなことを思いながら口を開く。


『実はあたし異世界から来たんだよねー』
「「………」」
『…え、何?何だよその眼はァァァ!!』
「テメーやっぱり頭湧いてんのか」
『やっぱりってどういうことだコノヤロー』
「まあまあ、とりあえずあげはの説明を聞くさ」


ラビがそう言いだしたのであたしは歩き出しながら説明を始めた。

――――


「へーじゃああげはのいた江戸はこっちと違って平和なんか?」
『まあ、こっちよりは平和なんじゃない?』
「にわかに信じられねぇがな」
『そこは信じろよ』


あたしが向こうの世界(天人とか万事屋とか歌舞伎町とか)のことを話しているうちに今までの通路とは違って、少し大きめのホールのような場所に出た。
少し先には小さな湖が見える。その向こう側で何かがキラキラ光っていた。


『あれ、イノセンスだ…』
「結構簡単に見つかったさね」
「…奴らは簡単にとらせてはくれないようだがな」


そう言って入り口の方を睨む神田に反応するように、あたしたちが入って来た入り口からたくさんのAKUMAが現れた。


ここは異世界

(二人とも頑張れー)
(いつの間にそんな遠くに!?)


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