神田は刀を構え、跳躍した。そして断末魔を上げながら斬られていく化け物たち。
それにしても清々しいほどバッサリ斬ってくなーアイツ。
「何お前、エクソシストじゃねーな。普通の人間か?」
『!………げ、』
神田が他の奴らと戦っているのをいいことに、両腕に大きな鎌のようなものが付いている化け物があたしの前に降り立った。
わあ死亡フラグだー。
「お前人質にすりゃあのエクソシスト殺れるかな?」
『(無理だと思う)』
あえて口には出さないけどな。
きっと神田は昨日知り合ったばかりのあたしなんか助けないだろう。証拠にさっきちらっとこっちを見たにもかかわらず、いまだに化け物を倒しにかかってるからねアイツ。ちったぁ心配しろ。
化け物の方もそんなあたしたちの関係を察したのか、あたしを人質にしても無駄だと判断したようだ。
「…んじゃいいや。死ね」
『っ!』
大きな鎌を振り下ろされ、咄嗟に避ける。その際に髪の先がはらりと舞った。
…ああ、やっぱり。昔より身体能力が落ちてる。
どこか他人事のようにそんなことを考えながら後ずさると何かに当たった。
『(……うわ、普通に忘れてた)』
あたしが当たったのはひとりでに歩く鎧のひとつだった。
いやー…すっかり存在を忘れてた。
「あー!!イノセンス!!」
『は?イノ……イノシシ?』
化け物はあたしから鎧に意識を移したようだ。化け物は嬉しそうに声を上げると、もう一度鎌を振り下ろした。
風圧であたしの体は飛ばされる。
『う、わ…!……って、あれ?』
「オイ、」
『あ、神田』
飛ばされたあたしの体は神田によって受け止められていた。どうやら彼の方は全て終わったらしい。
「…やはりあれがイノセンスだったか」
『あの化け物も言ってたけどさ、何それ』
「あの鎧を動かしている原因だ。おそらくあの中の一体がイノセンスを持っているはずなんだがな」
あの中の一体。ちなみに鎧は二十体以上はある。
めんどくせぇと神田が呟いた。
『………ねえ、』
「あ?」
『そのイノセンスってさ、アンタのその刀と同じ物質?』
「それがどうした」
『ふーん……。じゃあさ、そのイノセンスとやら。あたしが見つけてあげるよ』
「は……?」
出会ってから初めて神田の仏頂面が崩れた。
動き出す黒
(面倒事に巻き込まれるのはゴメンだけれど、)
(死ぬのもゴメンなんだよ!)
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