………なんてね。しないから、さすがに。
面倒くさいこと嫌いでも、こういうのはちゃんと助けるよ?正直言うとカツアゲされてるのが女の子の方がやる気はでるけど。
薄暗い路地へと入っていく。気付かれないように男達の背後までそっと近づく。そしてニッと笑った。
『お兄ィさんたちー?カツアゲなんてみっともないと思いませんかぁー?』
「「!?」」
急に声をかけたからか二人の男は何とも間抜けな顔をして振り返った。
あたしはそれに笑みを濃くして言った。
『見ちゃったのがあたしで残念だったね』
ドカッ
あたしはいまだに驚きが隠せていない一人の鳩尾に蹴りを入れて、その反動でそれにさらに驚いたもう一人の顔を蹴った。
『呆気な……』
気を失った二人を見てあたしは声を漏らした。
「………あ、ありがとうございました…!」
少年の方も呆けていたのか、突然我に返ってあたしに頭を下げてきた。
『別にいいよ。お金取られなくてよかったね、少ね…少年んんんん!?』
「!?」
あたしはカツアゲをされていた少年に近寄ったことではっきり見えた顔に素っ頓狂な声を上げた。それに相手も驚く。
でもあたしはそれどころじゃなかった。助けた少年はついこないだ写真で見たボンゴレ10代目沢田綱吉だったのだ。
マフィアのボスがカツアゲされてるとは普通思わないでしょーよ!!仮にも世界的なマフィアの10代目ェェェ!!いいのかこんなんで!?ボンゴレやっていけんの!?
「あ、あのー…」
『え!?ああ!えーっと帰り道には気をつけなよ』
「は、はい!」
『あ、それと敬語いらないよ。同い年だし(一応)』
「え……?」
『じゃ、"またね"』
あたしはそれだけ言い残して走って行った。
***
家に帰るといなくなったはずの晋助と辰馬はすでに帰って来ていた。そしてあたしは遅いと小太郎に怒られる始末。
「仮にも貴様も女子なのだから気をつけろと言っているだろう!!」
『仮にもって言うな仮にもって。正真正銘あたしは女だ。…ってそうじゃなくて!これには訳があるの!』
「なんかあったのかよ?」
そう聞いてきたのはソファでテレビを見ていた銀時。
『そうなんだよ。あたし10代目に会ってきちゃった』
「「はぁ!?」」
銀時と小太郎がそろって声を出す。それを聞いた晋助が今までつけていたヘッドフォンを外し、ちょうど部屋に入って来た辰馬が興味ありげに近寄って来た。
全員が揃ったのであたしはさっきの出来事を四人に話した。
「……へェ。面白いこともあるモンだなァ」
「向こうはあげはのことを知っている様子だったのか?」
『いや…あの反応は知らないと思う』
「んじゃ、明日お前のこと見て驚くんじゃね?」
『あー…確かに』
「いやいや、むしろもう覚えちょらんかもしれん」
『ちょ、それはそれで傷つく!!』
覚えられてて気まずくなるのもイヤだけどさ。覚えられてないって……!あたしの存在それっぽっちかコノヤロー。
ま、明日が楽しみだな。
面白がっているような声色にあたしはため息を吐いたのだった。
買い物にハプニングは付き物
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