血の匂いがした。気持ち悪いくらいに強烈に。
さっきまで笑いあっていたはずの仲間たちが血で真っ赤に染まって動かなくなっていた。
その中心で九曜だけが静かに立っていた。

これは、なんなんだろう?

体がガチガチに固まって動いてくれない。なのに震えは止まらない。
近づいてきた九曜はいつもの様な私の大好きな無邪気な笑顔じゃなくて冷たい冷たい顔をしていた。それがまた私の震えを煽った。

「ごめんね」

静かに告げられた言葉がやけにはっきり響いた。

視界が揺れる。滲む。
首に手を添えられただけなのに呼吸がうまくできない。

「く、よう……なんで」

「だってばれちゃったんだ。俺がメテオドだって。だから、殺される前に殺さなくちゃ。」

ゆっくりと九曜の手に力が入っていく。
呼吸が苦しくなっていく。
体の力が抜けていく。

「殺さなくちゃ、いけないんだ。」

霞んでいく視界の中で九曜の表情が歪んでいった。そして涙が一粒零れた。

「殺さなくちゃ、殺さなくちゃ」

いつの間にか震えは止まっていた。変わりに少しずつ寒くなってきた。
このまま死ぬんだと思うと少し怖い。でも九曜に殺されるなら良いのかも知れない。

ああ、本格的にやばくなってきた、苦しい。

「殺さないと、殺さないと」

九曜の温い涙がボロボロと私の上に落ちた。
意識が少しずつなくなっていく感覚がする。

ああ、泣かないで、どうせ死ぬなら大好きな貴方の笑顔を見せて欲しい。最期くらいわがまま言ったっていいでしょ?


九曜、泣かないでよ、笑ってよ


そう口に出そうとしたのになにかに引っ張られるように意識が沈んでいって、貴方の名前すら呼べなかった。
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