「貴様の本分はくだらぬ玩具作りではなかったのか」 「うるせぇよ、その気になりゃ媚薬くらい作れるっつの」 これが結果だ、と長曾我部が取り出したのは、目薬くらいの小さな容器と、それを満たす薄紅色の水だった。 これ見よがしに見せつけられた毛利は長曾我部の言う"媚薬"を奪い取り、まじまじと見つめた。 「……ただの水ではあるまいな」 「媚薬だって言ってンだろ!」 「…わかったぞ、酢であろう。しょうがを漬けた後の」 「……毛利てめぇ…自分から俺に媚薬用意せよとか偉そうに命じた癖によぅ…まさか本気で疑ってやがんのか?」 「…………」 「なんだその沈黙は!?」 言わずとも毛利の目があからさまに「怪訝だ」と訴えているので、長曾我部は怒るどころか、逆に悲しくなった。 しかし毛利が疑るのも無理はない話で、つまり二人がかねてから決行したいと思っていたある計画に、この媚薬が必要不可欠だったのだ。
※ 未だ毛利は媚薬の出来を疑ってはいたものの、計画は決行された。 そして面識のない二人の憧れ…舞雷という名の女は、うまいこと媚薬入りの水を口にして意識を飛ばした。ふらりと倒れ込む彼女の体を長曾我部が抱きとめて、傍らに涼しい顔で立っている共謀者に目をやる。 「…さて、上手くいっちまったわけだが…どうするよ」 「今更怖気づいたのか、クズめ」 「違ぇよ!場所の問題だ」 「…そこの部屋でいいであろう」 「物置ぃ…?……ま、いいけどよ…」 言われるままに長曾我部は舞雷を抱えて物置へ侵入し、内鍵を閉めた。 「媚薬というより睡眠薬ではないか」 「あ――…実は明智にほとんど作って貰ったんで効果は良く知らねぇ」 「……貴様…そのような訝しいものを舞雷に飲ませたのか」 「安全だとは言ってたンだよ。それに寝てた方が都合いいだろぉが」 「…我はマグロより、よがり狂っている方がいい」 「我儘言うなよ、強姦なんだぜ?よがらせようってんなら手順踏めよなァ」 「踏めるか。男がいるのだぞ」 「スーパー我儘タイム終了〜。いいか毛利、俺たちはこの女舞雷に惚れた。舞雷にゃ男がいた。だから強姦に踏み切った。だろ?」 「黙れ、既知のことぞ」 「………撫でてねぇで脱がせよ」 毛利とまともに会話するのを諦めた長曾我部は、意識を飛ばした舞雷の下半身を剥きながら、彼女の頭やら頬を撫でている毛利を促す。おかげでようやく上半身を覆っていた衣服が取り除かれ、舞雷は物置内で全裸にされた。 「脱いでもイイ女じゃねぇか」 「フン…我の審美眼に狂いはない」 「おめぇを褒めてんじゃねぇよ!……じゃ、前から決めてた通り、俺が先な」 「貴様が早漏であることを祈る」 「……てめぇなァ…」 緊張感も何も無い毛利と口論している暇はない。いつ誰がこの物置に入ってくるかも知れないのだ。 長曾我部は舞雷の形の良い乳房に唇を寄せながら、右手で陰部を弄った。 「ン……っ?」 「あ?」 「…意識が戻ったようだな」 「ようだな、じゃねぇよ、不味いんじゃ・」 「や―――っ!!」 意識がなくとも刺激して濡れてきた膣に、長曾我部の指が一本吸いこまれた所だった。媚薬の効果で意識を失っていた舞雷が目を覚まし、自分にのしかかる体躯に驚いて、両手で長曾我部の顔面を押した。 「いてっ、痛ぇって!なンで顔だよ!おい毛利押さえろ!!」 「我に命ずるな」 「やだ――っ!誰か・」 「おっと…やべぇってコレよぅ…」 「効いておらぬではないか」 「ああ?」 「媚薬のことよ」 上手くいったと思われた計画がまさかの破綻だというのに、毛利は表情を崩すこともせず、とりあえず長曾我部を平手打ちする両腕だけ頭上側から取り押さえ、責めるように彼を見つめた。 「貴様などに任せた我の失態か」 「量、量が足りなかったんだろ!まだあるからよ、飲ませろ、ホラ!」 腕が拘束されては次は足だ。舞雷は子供のように泣きながら、両足で長曾我部を蹴りにかかる。それをなんとか防ぎながら、媚薬の残りを毛利に投げた。 「あー、今更不安になってきたぜ…それ全部飲ませて効かなかったら、マジでどうすりゃいいンだよ」 「……まぁ、その程度のトラブルは予想の範疇。この薬が効かぬなら、口を塞いで犯し倒す。肉に覚えさせればよい」 「…なんか偉そうに言ってるけどよぅ、それじゃやることは原始的だぜ」 「これ、口を開けぬか」 パニック状態の舞雷でも、彼らの会話は理解出来た。自分がどんな状況にあるのか、何故一度意識を失ったのか、これから何をさせようとしているのか。だから毛利が口元に運んで来る変な液体を口に入れられてなるものかと、頑なに唇を引き結ぶ。しかし強引に指が割入ってきて、結局それは有無を言わさず喉を滑っていく。 「んっぐぇ、っ、ゲホッ!」 「効かなかったら気絶させるからよ…」 「口を塞げばよい。それでも黙らぬなら脅せ」 「俺は眠ってて欲しいんだよ!」 「我は意識があった方がよいと言っている」 「ったく、別々にやりゃ良かったぜ!」 「全くだな」 軽く喧嘩しながら男二人が女を取り押さえ、飲ませた媚薬の効果を待っている。 完璧に動きも悲鳴も封じられた舞雷は、それでも必死に抵抗していた。が、やがてそれも大人しくなってきて、抑え込んでいる長曾我部と毛利は期待を籠めて彼女を見降ろした。 「……なんか顔が赤くなってきたし、目がとろんとしてるよなァ?ちょ、手ェ放してみろや、悲鳴上げたらすぐ塞げよ」 「ふぁ、あ――…」 「…なんぞ、よだれを垂らしおって…」 「効いてるじゃねぇか!」 ようやく本来の効果を発揮しはじめた媚薬のおかげで、舞雷はすっかり思考が溶けた。 効果を確信した二人が体を解放しても、抵抗も逃げようともしない。それどころか、自ら手を恥部にやり、指を這わせて自慰に走る。 「早く済ませよ!」 「わかったわかった…おい、俺がやってやるから手ェどかせ」 「あっ、あ…!弄ってっ、んぅ――っ!気持ちよくして…」 女の痴態を前に、男二人の喉がごくりと鳴った。
*媚薬
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