雷が鳴っている。
ざあざあの雨と強烈な閃光、次いで轟く雷鳴は、耳元で太鼓をたたくより大きくて怖かった。

舞雷は布団の中で丸くなりながら、閃光と雷鳴に怯えていた。閃光を確認してすぐ、やってくる轟音を覚悟しているというのに、臆病な彼女はどうしても体を跳ねて驚いてしまう。

「舞雷」
「あっ」

自分の身を守っていた薄っぺらい布団が剥がされ声を上げる。舞雷の震える瞳には、暗がりの中でも三成の姿がしかと映った。

「そんなに怖いなら私の布団に入れ」
「……いいの?」
「ああ。…許可などいらない、好きな時にくればいいんだ」
「うん……」

舞雷は差し出された手をとった。そのままゆっくり畳を渡って布団に乗っかる。
本当はそのまま三成の腕の中で、轟く雷鳴をやり過ごして眠ることができれば良かったのだが。舞雷は安堵して息を吐いた直後、三成に強い力で引き寄せられて、暗がりの中的確に激しく接吻された。

「ふっ…、」
「そんなに雷が怖いのか?」
「……ん…」
「聞こえないようにしてやる」
「…あ、待っ…」

その言葉の意味を舞雷はすぐに理解出来た。するりと着物を脱がせてくる手を拒みきれずに、しかし彼女はこのけたたましい轟音の所為で、目の前の愛しい雄に集中出来ないことが怖かった。

「あっ、やっ…」
「……」

矢先轟く雷鳴に舞雷が跳ね上がる。三成は彼女に跨り、両手の平で両耳を覆った。

「…こんなことで聞こえなくはならないし、雷鳴は変わらず大きいが」
「三成……っ」
「すぐに行為に没頭して本当に聞こえなくなる。こんな騒音など」
「……ひあっ!」

額に柔らかく接吻し、耳を離れた手の平で彼女の腿を押し開く。唾液で濡らした指先で肉の割れ目をくすぐり、唇は彼女の顔にひたすら落として、やがて愛液で濡れてくるのを待つ。

「はっ、あぅぅ」
「今雷が鳴ったぞ」
「あぁぅ、ん…?」
「…可愛いぞ、舞雷」
「あっあ、んあぁ…!」

数本の指が膣内で暴れる頃から舞雷の耳は遠くなった。焦れて震える体を満足させるため、三成が己の男根を膣に埋めた頃からは、雷の音など彼女は忘れた。

外はざあざあの雨が地面や屋根を叩く音で満たされている。それは室内に騒々しく洩れていたし、雷鳴は酷くなる一方だった。それでも舞雷の耳が拾うのは三成の声か、いやらしい結合部の音だけだった。


*轟く。