「ひっぅ、ぅっ…!」 「舞雷、舞雷…愛している…可愛い舞雷…」 「んっあ、あっあっ!」
。
かつて優しく手をとり笑いかけてくれた兄のような男は何処へ行ってしまったのだろう、と舞雷は思った。
覆いかぶさる男の熱が狭い膣から逃げていく。中にはねっとりした濃い白濁の液体が注がれて、何となく腹の中がだるかった。 容赦なく突き上げられる所為でそこかしこに打ち付けた体が鈍痛を訴える。舞雷がゼィゼィと息をしている半開きの唇に、三成はとり憑かれたように吸い付いた。容赦なく滑り込んでくる舌肉がぬるぬると舞雷を犯す。息が出来なくてもがく体を押さえつけられ、酸欠で余計に頭がぼぅっとする。
「はっ、はっ、は…ぁっ…」 「舞雷、私は……」
お前が愛おしいだけなのだと。
こうして暗く狭い部屋へ監禁しているのも、逢えば強引に体を重ねてしまうのも、全ては愛おしいからだと。三成は熱っぽく舞雷の耳に吐いた。
「あっぐ…!」
愛おしすぎて全てが歪んでいったのはいつからだろうか。三成は唾液まみれになった舞雷の口元を舌で舐め、強く乳房を掴む。痛みに呻いた愛しい女の唇にまた吸い付きながら。 先の情事の残滓ごと、三成は貫いた。困憊していた舞雷は蚊の鳴くような声で泣いたが、聞こえないふりをした。
「もっ、や…、いやっ、…」 「愛している…ッ!」
もう何度その言葉を聞いただろう。あと何度その言葉を聞けばよいのか。 舞雷はただ喘いでそれをやり過ごす。快楽も肉体の疲労の影に身を隠し、ただ苦しいだけだった。
とぷりと精液が注がれる。先のように逃げて行った熱。腹に残るだるさ。必死に呼吸する唇に重なる唇。同じことの輪廻に気が狂いそうだった。
「……舞雷?」
呼吸困難がたたって舞雷の意識が飛んだ。三成は慌てて舞雷の頬を叩いて意識を引き戻す。ぜぇっと強く呼吸を再開したのを確認すると、泣きそうな顔をして彼女の頭部を抱き締めた。
「すまない、すまない…」 「………」 「私は、貴女が可愛いだけです…愛おしいだけです……」 「………」 「舞雷様……」
もはや三成はちぐはぐだった。かつて自分が姫様と慕い可愛がってきた太閤の養女を前に、もう何もかもが判らなくなっている。
「…三成、」
だからいつしか舞雷にも判らなくなってしまった。自分がこの男を前に、どうしたいのか。どうあるべきだったのか。
*腐敗する
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