「家康ぅぅぅううううっぅぅう!!」
「………」
また三成様が暴走して走り去ってしまった。刑部様は行き先を知っているのか、この展開にも慣れていて静かに飛んで行こうとする。私はそれに便乗させてもらうことにして、刑部様の輿の上に乗せて貰った。
「三成様はどこいったんですか」
「家康と叫んでいたが小田原城よ」
「別にいいじゃないですか北条さんのことは」
「徳川につくというからには捨て置けぬ」
「老人は放っておきましょうよ〜」
「ぬしは北条に限らず徳川に至るまで放っておいて欲しいのであろ」
「はい、そうです!」
「徳川がいらぬことをせねば、三成もぬしをそれなりに可愛がったであろうなぁ…」
「お、おのれ徳川家康…!、って私まで引き入れないでください!」
「ヒヒッ」
「もうどうして三成様は舞雷を見てくれないのですか!!」
「だから徳川が悪いのよ」
「ああもう!!」
なんとやるせない思いであろうか。確かに刑部様が言う通り、徳川家康のアレがなければ、私たちは秀吉様や半兵衛様に温かく見守られていた仲なので何不自由なくベタベタしていた。徳川家康のアレの直後それが激変、かなり淋しい思いをしている私。
「…刑部様、私ね、徳川家康そっくりな人形を作ることにします」
「それをどうする?」
「三成様をおびき出し、人形の前に落とし穴を作り、三成様を捕獲します」
「………」
「そして、牢屋に入れます」
「……舞雷…ぬしもたいそう過激な女よ」
「全ては愛が為せることですからきっと赦してくれますよ!」
「では落とし穴は我が掘ってやろ」
「約束ですよ!!」
後日、私手製の徳川家康そっくりの人形と、その前に刑部様が掘った落とし穴という罠で三成様を捕獲しようとしたけれど、三成様の移動が刹那すぎて落とし穴にはまってくれなかった。