『離婚の理由はなんですか?』 『価値観の相違です』 テレビから芸能ニュースが流れているのを舞雷は感心した様子で眺めている。 彼女がテーブルに置いてある茶菓子を食いながらテレビを見始めてから3時間は経っただろうか。その間、三成は慣れぬ手つきで洗濯機と格闘、舞雷がテレビを見始めたと同時に開始した洗濯がようやく終わり、洗濯かごに服を突っ込んでいる最中である。 「ねー三成、ついにあの有名人離婚したよ」 「どうでもいい」 「理由は価値観の相違だってさ」 「ありがちだな」 「でもこの有名人おしどり夫婦で有名だったんだよ?」 「だから何だ」 「私たちも急に耐えられなくなるかもねって話」 「………」 三成は洗濯機から服を取り出し終わると、まだテレビから視線を外さない舞雷の横に座った。籠を脇に置いて。 「ん?」 「私たちに限ってそれはない」 「それ?価値観の相違?」 「ああ」 「何でないって言い切れるの?」 「私が洗濯機の使い方が判らず電子音を鳴らしまくろうと、色ものと洗ってこの通りお前のブラウスが赤く染まろうと、気にしないだろう」 「うん、気にしないよ」 「私もお前がどんなにものぐさで怠け者でも全く気にしない。出来ない家事もやれと言われればやってやる。なぜならお前を愛しているからだ」 「う、うん…ごめん…」 「価値観の相違も何もないだろう」 「……そうだねー…」 三成に真顔で言われ、図星なのだがものぐさだの怠け者と評された舞雷は些かばつが悪くなり、ピンクに染まった自分のブラウスを眺めながら、干すのくらいはやろうかなと思った。
怠け者に献身的
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