私には悩みがある。やっとこさ恋仲までたどり着いたというのに、肝心の三成が全く、全くそれっぽいことをしてこないのである。恥を忍んで私からアプローチを掛けてみても華麗にスルー。これでは私の方がガツガツした男みたいで悲しや悲し。

「見苦しかろうが接吻のひとつやふたつ――!!」
「わかる、わかるぞ舞雷…お前さんの苦しみ!あんな淡白な男が相手じゃお前さんでなくてもそうなるだろうよ!小生にしとけ」
「三成にはエロス的な何かが…そう、リビドーが枯渇してるわけ!?」
「おい小生のさりげない一言に耳を傾けてくれ!ついでに心もなぁ!」

官兵衛がさっきから妙なことを言っているのは何となく判っているが、いちいち構ってやる気にもなれない。
鬱憤を吐き出したくて、偶然暇そうに歩いていたこの男を捕まえたはいいものの。もしかしなくても相談相手を間違えただろうか?

「あ〜!こうなったら意地でも吸い付きたい!!」
「あの血色の悪い唇にか?!気色悪……」
「なんだと官兵衛―――!!」
「何故そこだけ聞きとるんじゃ―!」

しかし選んでしまった相談相手の官兵衛の失言は当然赦されるものではない。私は全力で官兵衛を叩き潰し、床に濃厚な口づけをかましているでかい背を踏みつけた。

「小生はМじゃない、Мじゃないぞ舞雷――!!」
「こうなってはなりふり構ってもいられない…!斬られるくらいの覚悟を持って、三成を強襲しよう!!」
「頑なに無視か―――!」

この後私は家に引きこもっていた三成を文字通り強襲し、床に捩じ伏せた状態で唇を奪うことに成功した。


たまには強気に