「…読書中か?」
「見ての通り、そうですよ」
「………」
「……三成…気が散るから見つめないでくれない…?」
「私のことは気にするな」
「…無理……」
「だろうな」

判っているならやめてくれと舞雷は思ったが、これが三成なりの妨害だということはすぐに察しがついた。彼は恐ろしい程放っておかれることに免疫がない。図書室に籠って静かに読書に耽っていた舞雷だったが、見つかってしまっては継続することなど無理だった。
ふぅ、と溜息をついて舞雷は本を閉じた。その様子を見た三成は気を良くして微かに笑う。

「この本戻してくるね」
「私も行く」
「……」

別にいいのに、と思いつつ、拒む理由もないので舞雷は黙認した。言った通り三成は舞雷の後をそっとついて行き、舞雷は熱心に目を動かして棚を探した。結構な広さのあるこの図書室、自分が引き抜いた本がどこにあったかを探すのさえ一苦労なのである。

「あ、あそこ…じゃない、こっちだっけ?でもジャンル違…あれ?」
「開いている所にはめとけ」
「駄目だよ元の場所に戻さないと…」
「……そっちの棚じゃないのか?」

と三成は図書室の奥の方を指差した。確かにそっちの方だったような気がして、舞雷は素直にそちらへ歩いて行く。

「あ、そうだ。確かにここだよ」
「よかったな」
「うん……って、何?え?」
「シーッ…」
「んぅっ」

自分が本を抜き取った場所を見つけて本を戻したのは良かったが、手がからになった瞬間、背後から伸びてきた腕に舞雷は戸惑った。思わずヒソヒソ声でなく通常の声音で戸惑いをあらわにしたが、後ろから抱きついた三成が耳元で御してくる。三成は舞雷を後ろから抱き締めたまま、すりすりと彼女の体をまさぐった。

「ね、ねぇ…三成…?」
「静かにしていろ…見つかりたくなければな」
「や、やだよ…っ、こんなとこじゃ・あッ!」
「見つかるぞ」
「やぁっ…」

棚に押し付けられ、背を覆われて舞雷は逃げ場を持っていない。大声で止めようものなら人に見つかるし、既に三成の手がスカートを捲ってショーツの中に侵入していた。

「ん、ん…!」
「……何だ、いつもより感じやすいんじゃないか…?」
「そんなことないっ…」
「ふぅん…」

三成の指が舞雷の割れ目をしつこく撫でる。渇いていたそこはすぐにぬるりと濡れて、指の滑りを良くした。必死に声を耐えている舞雷をよそに、三成は指を埋めた。すぐに体を震わせて頭を振る愛しい舞雷の頭にキスして更に指を埋め、引き抜いて、また埋めては肉壁を引っ掻いて刺激した。

「あっぁ、」
「ん…?声が大きくなってきたな」
「う……」
「いい、塞ぐな」
「だ、って…!」
「私は見つかっても構わない」
「なっ、あぅっ!!」

何言ってるの、と舞雷が嗜めようと口を開いた時だった。ぐっと腰を引き寄せられ、体勢を崩した所に猛る男根がぬぷりと侵入した。思わず上げた大声は静寂に包まれていた図書室内に広く響いたが、直後三成が舞雷の口に指を突っ込んだ所為で次はなく、誰もが顔を文字の羅列に戻す。

「ふっうっ、」
「いつもより締まりがいいのは何故だ?舞雷」
「んにゅ、ぐ」
「噛むな」
「はっあ…!やだっ、みつ…」
「いいんだ…」

案ぜず集中しろと三成は舞雷に囁いたが、いくら彼女が声を押し殺したとて腰を打ち付ける音が既に図書室内に響いていた。
これは間もなく誰かが気づくと彼は思った。


*静謐にて