「舐めろ」
「っ、」

茶を出したまでは良かった。けれどろくに休みもせず働く主が心配になり、つい「私に出来ることがあれば…」などと申し出たのが災いした。睨まれて退室を命じられるかと思えば、身体をこちらにむけて三成様はこう言い放つ。私が驚いて絶句しているのを忌々しげに見つめて、ひとつ舌打ちをした後に強く腕を引き、私は見事に倒れ込む。三成様はうまく私を抱き止めてくれたものの、ぐっと力を籠めて私の頭部を自らの下腹部に近づけるのだ。

「三成さまっ、」
「貴様が脱がせてしゃぶれ。抵抗は許さない」
「………」

いくら私が生娘だからと反論してどうなると?元は私が招いた種だ。既に苛立ち気味の三成様を相手に赦しが貰える筈もなく、初めてのことに震えながら着物の帯に手をかける。幸い私の手元が覚束ないのは咎められず、何とか召し物を取り払うことはかなったものの、すぐ目の前に男の人の肉棒が現れると、やはり私は委縮して目に涙が滲んだ。

「…見ているだけで私が満足するとでも思うのか?」
「い、いいえ…っ」
「判っているなら早くしろ。私は多忙だ」
「…三成様、私…、こういう経験がなくて…その、」
「……舌を出せ」

どうしていいか判らず半分泣いていると、三成様が実に静かに命じて来る。私が逃げぬよう大きな手の平で後頭部を抑えたまま、頭上から指示をするのだ。当然反駁すること叶わぬ私は命令に従う。まだ萎えたままのそれに向かって舌を突き出し、目を閉じて舌先を当て、ゆっくり唾液を絡ませた。

「そのまま口に入れろ」
「ん、く……」

舌を精一杯伸ばしたまま、大きく開口して肉棒を飲み込む。歯を当てればどんな罰がくるかも知れず、既に顎が痛かったけれど必死に歯を立てぬよう唇をすぼめ、少しずつ肥大していくそれに苦しめられ。一度口内から出そうと顔を引くが、後頭部の手が赦してはくれなかった。それどころか逆に深く頭を押し付けられ、喉の奥に亀頭が当たって酷い吐き気が急襲してくる。

「げぇっぐ、げほっ!」
「少しは良くなってきたな…」
「がっ、げえっ」
「どうした、抜いて欲しいのか?」
「ゲホッ、ぅぐッ、」
「よしよし…」

硬く大きいそれが喉に詰まってむせるのは酷く辛かった。当然私は暴れたし、涙や鼻水で顔はぐちゃぐちゃ。それを見降ろしていた三成様は私が苦悶するさまを見て気分を良くし、後頭部を押さえつけていた手で私の頭をくしゃくしゃ撫でた。力が緩んだお陰で私はやっと三成様の男根を口から出すことに成功し、だらしなく涎が口端から垂れるのをどうすることも出来ず、息をした。顎が痛くて上手く口が閉じられない。

「休むな。口で上手く出来んのなら舌を出して舐め続けろ」
「はい……」

一瞬優しかった手はまた私を拘束する。初めの頃とは比べ物にならないくらい大きく反り立つ肉棒の、根元から先へ舌でなぞり、深くは飲み込めないから亀頭を口に含んで舐める。私は始終怖かったけれど従順だった。どうにされるのが気持ち良いのか判らない。だから言われた通り、必死に舌を絡め続けた。

「…何がはじめてだ、陶酔した顔をして」
「ふっ…はぁ…んぐ……」
「そんなに私に喜んで欲しいか?」
「ん……、…はい…」

こんなことをしていれば、やがて頭が痺れてまっ白になってくる。……そもそも、私は三成様を慕っているのだから。するからには喜んで欲しいに決まっている。

「どうしたら…一番気持ち良いのですか…?言われた通りに、します…」
「……貴様の喉奥に突き入れたいと言ってもか」

あの苦しい行為のことだ。それでも良かった。だからもう半分外れたような顎で、大きく口を開け自分から肉棒を銜えこんだ。顔を沈めればすぐに襲ってくる吐き気。それに耐えられる筈もなく私はまた酷い音を立ててむせたけれど、三成様の質量がまた増えたような気がして何となく胸が躍った。

「…、出すぞ…!」

舌先を通り越し、喉の奥に三成様の欲がどぷりと注がれる。とろとろしたそれが喉を滑って腹に流れていく。ずるりと男根が出て行って、口を閉じられなくて手で閉じた。
私はこの先に何を求めていたわけではないけれど、三成様はことの他なぜか優しく、一度だけ身を屈めて私の頭に接吻した。


*冷めたお茶の行方