merry christmas!



だいぶ遅れたクリスマスネタ
キバシノ








寒い、という一言に尽きるくらいには寒い。年末目前にある大きなイベント、クリスマスというらしい。
まあ年末休暇に入るのはまだだから普通に仕事がある者は任務に出かけるがこの時期になり下忍なら雑用などの任務があるかもしれないが中忍だったらこの時から休暇に入る者が多い、だがやはり班によって任務には違いが多いもの。たとえばネジ、リー、テンテンのいるガイ班だと害獣の駆除などほとんどが一日で終わるような任務。比較的知り合いのいる班はそう言った任務が多くその日の朝に出てその日の夜にかえってくるというものがほとんどであったが、キバ、シノ、ヒナタは探索に特化している班であるため、少し違った任務が多い。普通なら居場所が分かっている者の元に行き討伐するなどだが不明の者を探して、最悪の場合には殺したりしなければいけない、など長期に渡って任務に出ていることが多かった。去年の年末は1か月ほどの任務があったためにどこの国かもわからない森で年を越した、なんてこともあった。

目の前にいる火影の話をただ無言で聞いていた。
神妙な面持ちで、資料と睨みあいをしている。

「すまないが‥任務だ、至急、今すぐだ、霧隠れの里に向かってくれ」

この時期になると変な間違いを起こすものが多いらしい。木ノ葉の情報を持ち去った挙句殺人事件まで犯した犯人が潜伏しているらしい。それなら霧隠れの者に頼めばいいと思うのだが持っているのはなによりも木ノ葉の情報だ、それにそれほどの任務となれば上忍一人くらいいるものだろうと考えたが三人だけの任務ということになった。

「人手不足なわけではない、だが皆すでに休暇をとってどこかにいってしまっていてな、それでお前たちなら実力もあるし、良い経験になる、だから抜擢されたということだ」
「‥そいつは一人だけなんすか?」
「いや、まだ特定はされていない、もしかすると複数人で行動している可能性もある。できる限りとらえてほしい、無理だと思えば殺しても構わん。すまないな去年も任務だったのに今年も任務とは、ナルトやシカマルの班にやらせてもいいのだが、捜索するのが何せ大変だろう。大体特定していればよかったのだが‥。期限は見つかるまでだ」

どうでもいいような任務ならほっておけるがこうして国にかかわる任務となると仕方のないことだと、割り切って三人は任務を受託した。
だがこの季節の霧隠れとなると刺すような寒さにみまわれる。そんな中での探索など困難を極めることなどわかっていた。今年のクリスマスも任務で過ぎた、なんて考えながらまた集合場所にいたキバはため息をつく。なんて不運なのだろうか。
と門の端に背を預けていたキバに気づいたらしい、ナルトとサクラの声がして顔を上げる。

「よぉ!キバ!」
「どうしたんだよ?楽しそうな顔してよ」
「何がって今日クリスマス?だってばよ、んで今年は皆でパーティしようと思ったからよ!」
「んで?」
「今さ、シカマルの班とネジの班がきてくれるってばよ!だから」

そう言っていると集合場所にやってきたシノとヒナタに気づいて振り向く。

「三人もどうかなって」
「あー俺ら今からしばらく任務なんだよな‥。」
「えーー!まじかよ!」
「去年もじゃなかった?」
「そうだよ、しかたねぇんだよ‥ったくよ‥。まぁ皆で楽しんで来いよそろそろ俺らいかなきゃいけねえ」
「今から出発!?」

サクラは驚いたように目を丸くして三人を見た。

「さっき任務言い渡されて、今すぐいけって」
「無駄話していないでいくぞ」
「ってなわけで、そんじゃあな」

森の方へ少し急いだように消えて行った三人を眺めてナルトは頬を膨らます。

「今年こそ皆で楽しめると思ったのによー」
「仕方ないわよ、いくわよ、ナルト」
「おせーぞ」

声が聞こえて振り返ればシカマルがいの、チョウジとともに歩いてきていた。どうやらビンゴ大会の賞品を買いに行っていたらしくいのは楽しそうである。

「どうしてこんなとこでとまってるんだよ?」
「あーキバ達と今年こないのかって話してたんだけどさー今年も任務だってばよ‥。」
「まぁなあ、あいつらへんな時期に任務多いみたいだしな。戻るぞ、ネジ達がまってる」

そう言って5人はその場を後にした。







想像していた以上に吹雪いている道をかけていく。ほとんど指先の感覚もなくそれぞれ口を閉ざしたままだ。
霧隠れについて島国である故に海に面しておりその名の通り霧が立ち込めている。こんな中での捜索など長けたものがしなければ見つからずそのまま迷子になって死ぬだけだろう。
そんな事を考えつつ探索を開始した。島国であるために木ノ葉よりも探索範囲は狭いのが助かったらしく、困難を極めるかと思った犯人も何とか見つかった。それもこのあたりを知らない人間だったらしく凍えて死にそうだったところであったために保護するような形であった。街の方に戻り火影から水影に連絡をしていたらしく三人は水影の元にその犯人の男を連れていった

「話は聞いている、その男はそちらで処分を下して構わない」
「残党がいるようです、この男がいっていました。」
「ではそちらはこちらでとらえそちらに送る、そう伝えてくれ」
「はい」

淡々と手続きを終えて後続できていた忍者にその男を預けてため息をつきつつ刺すような寒さの街の中をだらだらと歩いていく

「あーなんだよ‥。くそ‥。」
「でもこんなに早く任務が終わると思わなかったから‥よかったね年末はゆっくりできそうだし‥。」
「わかんねぇぞ?また変な任務来るかも知んねえ」
「‥‥その時はその時だね‥。」

ヒナタは苦笑いを浮かべながら戦闘でぶすっとして歩くキバの方を見る。こんなに寒いのに相変わらず涼しい顔押して歩いているシノは黙ったまま歩みを進めている。

「あーどうせ今頃楽しいパーティーだろ?去年も任務だった俺らの気持ち考えろよ‥!」

歯ぎしりを立てるキバはポケットに突っこんだままの手をぐっと握り締めた。
今からここから帰ればどう考えたって翌日の夕方だ。今現在朝を迎えようとしている、霧隠れの里を出た。
明け方の冷え込みに体の芯から冷えて体力を奪う。

「あああああ寒い!!!」
「寒いと言っているから寒くなるんだ」
「うるせぇ!なんだよ寒くなさそうな顔しやがって」
「訓練が足りないだけだろうお前の場合」
「あぁん!?」

シノを睨みつけながら歩いていたキバはその前が海だと知らずそのままヒナタとシノの視界から消えた

「ぎゃああああああああああああつめてえええええええええ!!」
「自業自得だな」

慌てて海から這い出たキバは死んだような顔をして肩を抱いて震えている。ヒナタは慌てたようにキバの傍に駆け寄る。ふらふらと立ち上がってキバはシノの方を向く

「お前わかってただろ」
「あぁ」
「何で言わなかった」
「注意力散漫なお前が悪い」
「お前ほんと最低だよな!!!」
「最低で結構だ」

全て冷静に返されてキバはがっくりと肩を落としてがたがたともってきていた厚手の上着をもう一枚羽織る。このままでは本当に死んでしまうと、いつもの道ではなく体を温めるためと木々っをとびうつりつつかけていく、木ノ葉についたのはやはり予定していた通り夕方で、すぐに報告に向かった。


「御苦労、予定していたよりも早く終わったのだな」
「はい、すぐ見つかったので」
「本当にすまなかったな」
「いえ、それでは」

報告書は後日だすということで街の通りに出るとすでに昨日のクリスマスの雰囲気から一変年末年始独特の雰囲気になっていた。だらだらと三人で歩いていた時、突然のことだった、急に普通に歩いていた男が襲いかかってきた。それをそれぞれ避けつつすぐさまクナイを構える。

「よくも邪魔をしてくれたな!!」
「っなんだよ‥あいつの仲間か‥!」

どうやら一人ではないらしくこんな街の中で戦闘というわけにもいかず三人は目線を合わせうなづいたあと男たちの頭上を越えてそのまま街の中をかけていく。男たちはそれを追いかける。

「ちっ、どこまで増えやがるんだ‥。」
「このまま引きつけて門の前の場所までいくぞ」

悲鳴などを聞きつつそのまま門の前まで引きつけ、そのまま畳みかける。
元から忍であるらしくそれなりの腕前であったが始末にそれほど時間はかからなかった。護衛に来た忍達につれていかれるのを眺めながらこれじゃ涼しい顔して街も出れない菜などと考えつつ血に濡れたクナイを片づけそのまま返り血を払うがついたものはとれないらしく、キバは舌打ちを打った。と、その時後ろから声が聞こえる。

「お疲れ様」

振り返ると担当上忍であった紅の姿であった。

「あっ久しぶりじゃないっすか!」
「本当に久しぶりね、騒ぎになってると思ったら貴方達がなんだかその騒ぎの原因みたいで気になってね」

雰囲気もおっとりしてきた紅は頬笑みながらずっと身長も伸びて成長した三人を見る

「それにしても昨日も任務だったのね、お疲れ様、そうそう、ナルトくん達のいるところにいってあげなさい」
「へ?もう終わったんじゃないんすか?」
「年末年始は休みだからって二日連続でお泊り会らしくてヒナタ、あなたの家に集まっているらしいわよ」

ナルトという名前を聞いてヒナタは顔を真っ赤にする。
それを眺めながらキバとシノは、ああ、やっぱりといったように顔を見合わせた。
そして紅と話おわってそのままヒナタの家に向かった。
どたんばたんと声が聞こえる。この家もだいぶ変わったなとキバはしみじみ思う。ヒナタに対して過保護になったというかなんというか。あれだけ厳しかった父親が優しくなっているしこうして家に人をどんどんと招くようにもなった。ネジも丸くなったとか思いつつどたばたとする家に上がる。

「ほらヒナタ先行って来いよ」
「え?キバくんとシノくんは?」
「ほら任務あって着替えてぇし流石にちょっとこのまま家は上がれねぇし、今度またナルト達に挨拶しておくよ」

くるりと背を向けたキバとシノを見送りつつどきどきする胸のあたりを押さえつつ家に上がってどたばたと声の聞こえる部屋に向かうと、昨日から遊びっぱなしだったらしいナルトたちが勢ぞろいしている。

「あらヒナタ!任務終わったの!」
「う、うん‥。」
「おっつかれさま!ってあれキバとシノは?」
「えっと‥任務もあって疲れたからって帰ったの」
「逃げたな」
「逃げたわね‥。」

シカマルがそう言った途端ナルトはどたどたと外を見るが既に二人の背はみえなかった。

「まぁいっか‥それはそうとヒナタ、お疲れ様だな!」
「え‥!ナルト君‥!あ、ありがと、う‥。」
「そういや皆でケーキ作ったんだってばよ、一応残してあったんだけどいるか?」
「う、うん!その前にちょっと服着替えてくるね」
「いってらっしゃーい」

すぐに服を着替えてまた部屋に戻れば、ケーキが置かれていて作ったにしてはとても綺麗で、ヒナタは嬉しそうに笑いながら、一口ケーキを食べた。






流石にあれほどの任務をして話をするのもしんどいものでキバとシノはヒナタと別れてだらだらと途中までに道を歩いていた。それなりに二人の家も大きく家も屋外に位置している。
木ノ葉でも特異な能力を持っているから敬遠されがちでそうなったのもあるのだろう。
薄暗い道をだらだらと歩きながらキバはうなだれる

「来年こそはゆっくりしてぇな‥。」
「本当にそうだな」
「へぇ、お前が俺の言葉と同調してくれるなんて珍しい」
「悪いか」
「別に」

今日も泊まるとかなんとか声が聞こえたから今頃全員でぎゃあぎゃあと騒いでるのかと、二人は考えて、やはり逃げて正解だったと思いながら白い息を吐きながら歩く。
人もいないから余計に寒いのだろう

「やっぱここもさみぃな‥。」
「冬だからな」
「ほんと思うけどお前寒くねぇの?」
「寒いが」
「何か隠してんじゃねぇの」

特に何も、とあっさりと返されてキバはふと思いついたようにシノを後ろから抱きつく。

「何をする、邪魔だ」
「おどろかねぇのかよ」
「大体わかっていた」

自分より少し低い体温を感じながらキバはシノにしがみついたままだらだらと歩く。歩きにくそうなシノは相変わらずポケットに手を突っこんだままだ

「なんか面白くねぇの」
「悪かったな、ほら離れろ、お前の家はあちらだろう」
「ちえー‥じゃあさー」
「なんだ」
「キスしてくれたら離れる」

眉間に皺が一気に寄る。そしてしばらくの静寂の後振り返ったシノは、小さく息をついて、細い指先でサングラスをとってそのままキバの唇にキスを落とす。冷たくて柔らかい感触に安堵して、そのまま腰を引き寄せて、しばらく唇を重ねた後、ゆっくりと離した
少しだけ赤くて白い頬にキバは指を這わせてゆっくりと体を離した
サングラスを戻してシノはまたポケットに手を突っ込んだ。

「それじゃあまたなー」
「あぁ」

くるりと背を向けたシノとは反対の方に歩き始めたキバはなんだかんだとあったクリスマスだったなと思いつつ日が暮れて真っ暗になった道を歩き出した。
























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