あぶくの結末













そっと鮮やかな紫色の長い髪に指を通す
少し驚いたように体を動かす
目を覆う黒い布をとってやれば綺麗なムーンストーンをはめこんだような瞳が現れる

「‥シャドウ‥‥」

不安げな声で呼ぶからそっと口づける
いつも着ている服も全部僕の好きなように、着せて
僕しか見えないように目隠しをして何度も愛を伝える
最初は嫌がっていたものの今は大人しくこうしていてくれるから
また愛の言葉を紡ぐ

「愛している」

黒いリボンで結んだ髪をほどいて指で解いて角度を変えながら何度も、何度も口づける
白い指先が僕の頬に触れたからその手に僕の手を重ねれば、嬉しげに笑う
その眼は、虚ろだ
それでもその瞳にも心にも僕の姿しか映っていないのだという、優越感に浸りながら
僕は一人では十分すぎるこの寝台の上に彼を押し倒す
広がる髪が月明かりに照らされて輝く

指を絡めて、胸元のリボンをほどいてボタンをはずしていく

「シャドウ、あいして、いる」

声も初めて会った時の凛とした雰囲気もなくただ陶酔しているようにゆっくりとした口調で言う

「あぁ」

熱が冷めないうちに、とそのままするりと服を脱がせて白い肌に指を這わせた







目がさめればすでに朝で隣で眠る愛おしい彼に触れてみれば同じく目を覚ましたようで穏やかに笑う

「おはよう」

掠れた声でそう挨拶をした、彼を抱き寄せた
夢ではないと、確かめるように

「どこにも、いかないから」

背に回された手の感触を感じながら触れるだけのキスをして体を解放した
今日もまた、何もない毎日が続く
青色の空に流れる雲をただ眺めながらまた眠りについた愛しい彼の目を黒い布でまた覆った

「君は、僕のものだ、どこにも、行かないでくれ」

白い素肌も、紫色の癖のある髪も、この黒い布の下の虚ろな瞳も、全て僕のものだからと、触れて蹂躙していく
するりと白い首に指を這わせる
残した後がいくつも赤く残っている

「エスピオ、好きだ」

そう愛を告げても静かに眠りにつく彼は目を覚まさない
首に絡めた手に力を込める
そうすればどうやらまた目覚めたらしい彼は小さく笑って目隠しを自分でとった
あまりにも綺麗に、笑うから

「シャドウ」
「‥なんだい‥‥」
「泣かないで」

そう頬に伝うぬるい水滴を拭ってくれる
なぜ泣いているのかなんてわからない

愛している

そう告げた彼は少し苦しそうな表情をした後また綺麗に笑って優しく抱きしめてくれた
首にからめた手がほどけて彼の細い体を抱き締め返せば口づけられる
上にのしかかる形で着せた自分の白いワイシャツのボタンをはずして首筋に顔を埋める

「あ‥あっ‥シャドウ、っあ!」

甘く洩れる声が愛おしげに名前を呼ぶ
もう溺れて戻れないところまできてしまったのだと
告げるように指と指を絡める

今日はもうこの熱に溺れてしまいたいとただ互いの息を奪うほどに甘く熱い口づけを交わした











あぶくの結末
(そうなろうとも君と死ねたら、きっと幸せ)




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