LOVER




ほんのちょっと性的表現有






休日になったらこうして雨が降る。
だから友人達と遊ぶことも億劫で今日の誘いは全て断った。
なんだかんだこんな雨でも元気なナルトの呑気な顔を思い浮かべながらキバは外を眺めていた
昨日までの長期任務から数日休日をもらったものの、何もすることがない。
ナルトやシカマル、リー達の班と違いどちらかといえば長期にわたる任務が多いから休日があわないからこうして休日になって予定が合えばよく誘われているのだが雨だしどうしても気が乗らなかった

自室から大通りへ繋がる道を通る人を眺めながら誰もいないこの広い家の中でぼんやりしていた
そういえば今日は仲のいい班全てが休みだと聞いていて皆で買い物やらなんやらにいくとかなんとかヒナタがいっていたな、とナルトと行けることがうれしいのか照れくさそうに笑った顔を思い出しながらベッドから立ち上がった
赤丸も昨日までの過酷な任務の所為でゆっくりと休息をとっているようだ

薄暗い廊下に出て適当に食べ物でもあさるかと台所に行ったところ、机の上に白い紙が置かれていた
そこには走り書きでかかれた母の字があった
買ってこないと今日母がかえってきたらきっとぼこぼこにされるだろうと仕方なくサンダルをはいて傘を探すがどこにもない

「最悪だな‥」

どうしようかと玄関に出てみたものの雨はやむ気配を見せない
しょうがないと走っていこうかと、考えていれば昨日まで任務で一緒だった同じ班のシノがいた

「うおなんだよ」
「急用だ、こい」
「へ?」

なにがなんだかわからないが先に歩きだしたシノをおいかけリビングで寝ていた赤丸も分かったようで走り寄ってきたのを目の端に移しながら慌てて隣に並んだ

「おい、なんだよ」
「任務だ」
「は!?」

全く状況がつかめないまま同じく雨にうたれたままのシノについていけば、ついたのは門の前だった
そこには傘をさして立っている綱手がいた。火影直々の任務なんて珍しい、と考えつつ任務内容をきいていた

「まぁ、今突然入った任務だ。本当はカカシの班やアスマの班にまかせようとおもったのだが声をかけても丁度でかけているようでな、それにお前たちなら任務もスムーズにいくだろうということでお前たちに頼んだというわけだ」

キバはあたりを見回して、一言つぶやいた

「俺らだけっすか」
「先に数名現場にむかっている。お前たちならばすぐにおいつくだろう」

いってくれるな?、と首を傾げる、直々に任されられてはでるしかない
霧隠れの里までのいつも使っている短縮ルートを使いつつただひたすらに先鋒部隊を探す
急遽入ってきた任務は重要人物に探索、討伐だった

「近いぜ」
「あぁ」

一気に広い道に出て先に出ていた上忍の姿をとらえる。
見慣れた後ろ姿にキバは声をかける

「今連絡を受けたところだ、こんなに早く、きてくれるとはね」
「さすがだな」
「また珍しい組み合わせっすね」

そう言って立っていたのはカカシとアスマだった。その他にも援護として数名の上忍もいた

「これだけの上忍がそろってるのにあっさりみつからないんすね」
「まあね探索に秀でてはいないからねぇ、さてわかるかい?犯人がどこにいるか」
「ここから東南、3キロほど先」

低く呟くように言ったシノの言葉を聞いて少し驚いた表情を見せたカカシはぽん、と手を叩いて地図を片づける。

「流石だね」

その場をすぐさま出発し、ひたすらにその犯人とやらを追跡する

「道を変えたな」
「ちょい匂い離れていくな、それに数人、増えた」
「あぁ、大体4人か」
「そんなことまでわかんのか」

キバとシノのやりとりを聴きながら感心したようにアスマはふたりを見てぼそっという

「紅もやるなぁ」
「そんなこといったらまた平手打ちくらいますよ?」

おお怖い怖い、とでも言うように肩をすくめながら苦笑いを浮かべたアスマは視線を前に戻す。そしてしばらく移動していればキバとシノは目をちらりと合わせて動きを突然止めた

「シノ、お前の方が今は特異な状況だろ」
「わかっている」

両手を広げ一気に無数の寄壊蟲が飛ぶ

「行け」

そう言うと虫は四方八方へ飛び去ったあとシノは集中して蟲を操る
とらえた、と小さく言うと複数の悲鳴が響く
蟲の大群はその声の主の体を覆い全てのチャクラを食い尽くしていく
そして有ることに気づいたらしいシノは声を上げた

「キバ!」
「わぁってるよ!!」

スピードなら圧倒的な速さを誇るキバは駆け出した

「流石だね、それじゃ俺たちも仕事にかかりますか」

どうやら違う任務も受けていたらしいアスマとカカシはそれぞれその場を離れた
キバは逃げ出したひとりをひっ捕まえて木にたたきつけた
さっさと敵の始末を終えたシノもその場にかけつけた

「気をつけろ、そこに罠が」

男は急に反撃をしようとキバの腕を掴むがそれをかわしながら後ろに後ずさる。
そして空中を飛来していた多数の鳥が一直線に襲いかかってくるのを交わした
どうやらその鳥は練ったチャクラで生成されているらしく大爆発を起こした、そんな中シノはクナイを掴んで煙の中にクナイを投げた。
一匹の鳥もろとも男の方へ一直線へ飛んでいく
そしてそのまま男の叫び声とともに爆発を起こした

「やったか‥?」

ばらばらになった男の無残な死体がそこにあってそれを見てふうと息をはいたキバは立ち込める煙を払いながらあたりをうかがう

「もういねぇみたいだな」
「お、おわったみたいだね」

他の任務にいっていたらしいカカシとアスマが戻ってきていてそれも終わったようであった

「突然すまなかったな、しっかしお前らもこんなレベルにいってるとはなあ俺の班も負けてられないな」
「それじゃ、戻るかい」

カカシの言葉に頷き木ノ葉に戻った。それほど時間もかからなかったために夜前には帰ってこれた

「報告は俺がしておくよ、感謝するよ」

にこにこ、と笑いながらくるりと踵を返したカカシはにぎわいだした街の喧騒に溶けて行った、アスマもどうやらこの後は恋人とのデートらしくいつになく楽しそうだ

「あー休みが丸つぶれだよ‥まぁあと二日あるけどよ‥」

キバの隣にいたシノはなにも言わず高い襟の中で小さく息をつく

「てかお前遊びに誘われたんじゃねえのかよ」
「誘われたが興味がない。それだけだ」
「ふぅん」
「お前も誘われたのでは」
「雨だしやめた」

そう言って相変わらず雨の降りしきる街の中を眺める
ほとんどの者は傘をさして暗くなった大通りを楽しげに友人と話しながら歩いていたり一人で静かに歩いていたり、灯籠のお陰もあってどこか風情もある
ふたりで土砂降りの雨にうたれながら遠くに見えるオレンジ色の光に彩られた商店街を見る

「ひでぇ雨、かえらねぇの」
「帰るつもりだが」
「お前の家、どっちだっけか」
「‥ふん」

そうとだけ言って街の方に歩きだしたシノにむっとしながらキバはその背を追いかける明日は祝日で祭りも行われるからと人が多い。それをよけながら歩き続けるシノの腕を掴む

「お前歩くスピード速すぎ」
「‥邪魔だ」

手に伝わる、温度がいつもより熱い
それに微かに震えている
ぐっと腕を引き寄せてそのまま路地裏に入る

「っなにするんだ‥」

キバは壁にシノを押さえつけて強引にサングラスをとる、初めて見たシノの素顔
いつもサングラス越しの世界しか見えていなかったシノは言葉を失っていつもより動揺しているようだ

「なんで目線合わせてくれねぇの」

目線を伏せてキバを見ようとしないシノは震える手で弱弱しくキバの肩を押すがその腕を掴んで壁に押し付ける
額当てをほどいてそっと頬をなぜる
雨の所為で顔にかかった前髪を払いながら親指を目元に這わせる
よく見れば両目の色が違っていた
綺麗な赤紫色と済んだ黒色

「見るな‥見ないで、くれ‥‥」
「嫌だ、なんでそんなに怖がるんだよ」

雨に混ざって目元から流れるのは、雨じゃない何か
そっと目元に唇を落とせば少しだけ塩辛さが舌を刺激した
やっぱり、泣いていた

「やめ、やめてくれ‥‥」

唇を離したキバを見ることなく必死にそういうシノはそのまま瞼を下ろした

「みられたくないんだ‥」

もとから強い日光はいけないからとシノの一族はああして素顔を隠しているのだ。きっとそれ以外にも原因があるのだろうけれど。
その他にも彼がこうして目を隠すのはきっとこの瞳が原因だったのだろう

「気持ちが悪いだろう‥‥お前には‥見てほしくなかった‥」

きっと彼の瞳を見て沢山の人がそういった傷つくような言葉を彼に向けて行ったのだろう
表情を持たず、口数も少ない彼はこうしてずっとずっと耐えてきたのだ

「なんでそれが気持ち悪いんだよ、お前はお前だろ、なんも気にするようなことじゃねぇよ」

キバのその言葉にゆっくりと瞼をあげたシノはキバの目線に目線を合わせた
息づかいがわかるくらいの距離
もっと強くなった雨が大通りの方から聞こえる喧騒をかき消す
そっと唇を重ねた
柔らかく冷たい感覚が離れていくのを感じながらまた瞼を上げた
くらくらして霞のかかる視界の中でキバは小さく笑った、いつもの無邪気な笑顔じゃなく惚れそうなくらいかっこよくて色っぽい笑み

「キバ‥‥」
「どした」
「‥‥もっと‥」

キバはぐっとシノの腰を引き寄せて今度は甘くて少しだけ荒いキスをした

「ん‥‥う‥はぁ‥‥」

絡みあう舌、甘くてふやけそうな意識の中で指を絡める

「‥はっ‥ぁ‥っ‥」

唇を離して、キバは吐息混じりに言う

「やば‥抑えられなく、なりそう」
「‥は‥キバ、‥?」
「その表情反則」
「だめ‥だ‥こんなところで」
「これくらいスリルがあった方が、もえるだろ」

そしてそのままもう一度唇を這わせて腰あたりの素肌をなぜる

「っん‥は‥ぁ‥あっ‥駄目‥だ‥」

どうせこの雨が声なんてかき消してくれる、とキバはシノの首筋に噛みついた








自宅に戻ったのはそれから数時間後のこと、任務が長引いたと親から連絡があって今日はどうやら自分だけらしい家の自室で何度も何度も熱を求めて、肌を重ね、終わったのが真夜中だった
雨の所為でまだ少し濡れたシノの髪をそっと撫でる
小さな寝息を感じながら幼い寝顔を眺めて、そっと微笑んだ後外に目を向ければ前夜祭ということもあってまだ街はあでやかな光にあふれている
そうしていれば目を覚ましたらしいシノはゆっくりと体を起こした

「大丈夫か?」
「‥う‥あ、あぁ‥」
「無理すんなよ」
「誰の、所為だ‥」

不機嫌そうなシノは眉間にしわを寄せてキバを睨む。ようやくサングラス越しでない世界になれたらしくシノはキバと同じく外に目線を向けた

「お前、こういうの見たことねえだろ」

街を眺めるシノの横顔を眺めるその目線に気づいたシノはなんだといわんばかりの表情でキバの顔面に枕を叩きつけようとしたが腰の痛さに顔をしかめて動きを止めた

「最悪だ‥」

そう言ったシノを抱き寄せてベッドに倒れ込みぶつくさなにやら言っているシノは諦めたようでぶすっとしたままキバに抱きしめられたまままた瞼を下ろした

「まぁいいじゃねえのすっげ可愛かったし」
「何がだ」
「お前がだよ」

うるさい、なんていって耳まで赤くなったシノを眺めながらキバは耳元で囁いた

「愛してる」
「‥っうるさい!さっさと寝ろ‥」

へいへい、なんて言いながらキバも瞼を下ろして、腕の中の温度を感じながら夢に沈んだ














LOVER
(絡む指先、滑らかな熱、息もできないほどの)






















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