Illusion of light reflected in the midnight sun


擬人化
智羅×山吹←六
死ネタ









遠くから心地よい笛の音色が聞こえる
ふと足を止めて木の上を見てみればそこには狐の耳の生えた人がいた
美しい指先が奏でる音色はいくら聞いても聞きあきない

ここに来るのは初めてであった
とはいってもここはたまたま通りがかっただけ
するとぴたり、と止んだ笛の音
そして気付いた時には音もなくすぐ前にいた

「おっと‥」
「見知らぬ、人ですね、ここへは初めてですか?」
「あ、あぁそうだけど、あんたの笛の音が気になって、いつもここにいるの?」
「そうです、生まれた時から私はここにいましたから」

ふわふわの金色の髪をなびかせてその人は言う

「家は?」
「この山が、私の家そのものです、それに私はこの村以外の場所へはいけませんから」

綺麗に微笑んだその人は笛を片づけてそういえば、と言葉を続ける

「御名前は?」
「俺か?俺は六、あんたは?」
「私は山吹です」
「いい名前じゃねえか、しばらく、ここにいても?」
「構いませんが、夜になればこの辺りは、寒くなりますよ?」

そんなもの慣れっこだ、とここにいることを決め込んだ俺は近くにあった切り株にどっかりと座った

「面白い方ですね、こんな山皆そそくさと抜けてしまうのに、あなたは私の笛の音に気づいてくれた」
「そりゃあんな綺麗な音色きかされちゃ、自然と足も止まる、他にもなにか聴かせてくれないか?」
「はい、構いませんよ」

するりと白い指先が笛を取り出して旋律を奏でる
先ほどとはまた違う、凛とした音色
心地よくもどこか切なく儚いその音色は心の奥まで響いてくるようで
しばらくの演奏が終わって瞼を上げた山吹はすとん、と隣に座る
幾分か低い顔を覗いて問いかける

「どうなさいました?」
「その曲好きだけどどこで?」
「この曲ですか?もともとは、私の大好きな人が知っていた曲でした」
「‥でした?」
「はい、その人は、もうどこにもいませんから」

そう呟く山吹の表情が陰る
聴いたらいけないことをきいてしまったのかもしれない、と思いながらも話を続ける

「どうして?」
「ここの村人に、間違って殺されたんです、私が今村人と仲良くなったのはあの人が殺されてから。かばってくれたんです、私が殺されそうになった時、あの人は。この山は私とあの人を引き寄せてくれた場所、だから私はずっとここにいようと、決めたのです」
「なるほど」

そっとそのふわふわの髪に触れてみる
きっとこの人を愛した人よりこの人に近づくことなんてできないのだろうけれど、一時の休息となれればいい、とそっとその体を抱きしめてゆっくりと体を離した
切り株から腰を上げる

「また今度、きてもいいか?」
「はい、構いませんよ、貴方が聴きたいと思えばこの曲を演奏しますから」

くるりと背を向けた俺はもう一度振り返ってひらりと手を振れば山吹もひらりと手を振り返してくれた



















月雪に舞う華のように
(美しくも、儚い彼に、優しい歌を)









殺されたその人が智羅さんだったっていうお話
擬人化が好きだったりともんもん
もちろん原型好きですけど原型の場合は幸せにしてあげたい



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