僕が息絶えて眠るまで











もうじき桜も満開という時期
温かくなる陽気に包まれる頃だろうか
春休みも近くなって心なしか生徒達は嬉しそうにそわそわとする時期だ
外から聞こえてくるのは放課後になってサッカーではしゃいでいるナルト達の声だ
先ほどまで続いていた担任からの説教からのがれてぐったりしていたら時計は午後5時を指す少し前だ

なんだかんだ待っていてくれたらしいシノは退屈そうに一人の教室でいつもかけたサングラスをかけずのぼーっと外をみているだけ

「まったく、今度は何をしでかしたのだ」
「別になんもしでかしてねぇよ失礼な」

ふくれながら鞄を掴めば準備を終えたらしいシノが席を立つ音がした
階段を下りて玄関に向かう
靴をはいて学校を出る、どうでもいいような話をしながら歩いていればそういえば明日が休みのことに気づく

「なぁ、シノ」
「どうした」
「飯、くっていかねえ?」
「別に構わないが」

温かいといったものの日が暮れれば寒いもので
吹いてきた風に身をすくめながら適当に店に入って席につく
携帯をつついたりなんだかんだすれば聞き慣れた声に振り返れば先ほどまで遊んでいた面々がやってきた
少し離れた席に座ったのを眺めながら向いのシノに目を向ければ気づかれたくないようで奥の方に座り直す
煩い彼らが少し苦手らしいシノは自ら進んで特にナルトには話しかけないらしい
シカマルはまだ話が合うらしくたまに話しているのを見たことは何度かあるけれど

薄暗くなった外を見ながらストローを口にくわえる
そうしていると料理が出てきて適当に食べ進める

「そういや、聴いてなかったけどお前なんでこの高校に転校してきたんだよ?」
「親の関係だ。それ以外に理由はない」
「ふぅん大変なんだな」

もともとあまり食べない方らしいシノはもう箸を置いている
そんなんだからそんな細いんだ
前そういったら思いっきり平手打ちを食らったので心の中でおさえておく
白い手で頬づえをついて外を眺めるサングラスからちらりと見える目が何かを追う
長い睫毛が揺れるのを眺めながらこの学校では自分くらいしか見たことがない素顔を思い浮かべてぼんやりしていればなんて顔をしているんだといわれて首を振る
一気に料理をかきこんで水をグイッと飲む

「顔、赤いぞ?」

小さく首をかしげ唇を弧に描く
反則だろ、そんな表情

「さて行くぞ」
「おい待てよ!」

慌てて財布を掴んでさっさと出て行ったシノ
あぁこれはおごれということか
ただでさえ今月は苦しいというのに、と仕方なくお金を払って外で待っているシノの所にむかえばありがとうも言わない

「あとで金返せよ!」
「なんだおごりではないのか」
「ちげぇし!」
「まぁ今度おごってやる」

また俺をおいてすたすたと歩き出した背を追いかける
アパートまでは歩いて10分ほど
しばらく歩いていれば川の近くを通りかかる
桜が川沿いに並んで咲いていてふと足を止めれば少し前で立ち止まったシノは振り返る
最近知った近道で歩いている人もおらずお気に入りだった

振り返ったシノはため息をつきながらも桜に目をむけたのを見計らって腕を掴んで引き寄せた

「おい、離せ」
「いやだ」

ぐっと抱きしめてそのまま散った桜の花びらに覆われた地面に倒れこむ
ぼふっとクッションになって鞄も服も何もかも桜の花びらに覆われる
ずれたサングラスをとったシノはそのままポケットに片づけてもう反論するのも諦めたらしい

「あー眠たくなってきた」
「こんなところで寝るな、なぜなら風邪をひいてしまうからだ」
「大丈夫だって、ちょっとくらいこのままいさせろよ」

なんだかんだ抱きしめられているシノはいわゆるツンデレとかいうやつだろうか
自分としてはもっと甘えてほしいところもあるのだけれど

流石に冷えてきてくしゃみを一つすればシノは白い手で俺の頬に触れる
立ち上がったシノは桜の花びらを払いながら手をさしのばしてくれる
手を掴んで立ち上がってこちらも見ずに言う

「もう帰るぞ」
「へいへい」

あと3分ほどの道のり
同じアパートだから最近はずっとシノの部屋に入り浸ってばっかりだ

もう少しだけ花見デートとしゃれこみたかったけれど
今度誘ってみよう、と思いながらまた帰路についた













僕が息絶えて眠るまで
(君を愛させてください)









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