少年はそれを恋とは知らずに走り出す ルカリカ










ずっと僕は見ているばっかりだった。
スパーダはいつもリカルドの方ばかりを見ていて、リカルドも満更でもない表情で。
それを見るたび僕はぎゅっと胸の奥が締めつけられる。きっと嫉妬していたんだろう、旅をしていたって戦闘に集中できない日が続く。

買い出しだってよく二人ででていたりしていて楽しげなその表情。
僕だって、スパーダが触っているみたいに、その髪に、手に触れてみたいのに。


どうしようもない気持ちが渦巻いている中、ある日、いつもみたいに武器の点検をしていたらリカルドから声をかけてきた。

「ミルダ、話がある、ちょっといいか。」
「うん、いいよどうしたの?」

振り返った時、その青い瞳を見ただけで僕の胸の奥が疼きだす。
それを押さえてそのまま買い出しに出るからと、付き合うことになった。
考えてみたらこれが初めてのリカルドとの二人だけで行動するな、なんてちょっと嬉しくなって。

「それでどうしたの?」
「いや、最近顔色が悪いからな。どうしたのかと思ってな。」

やっぱりこの人にはかなわない、って思ってなんでもないよと言うけれど全て見抜いているようで。

「‥やっぱりリカルドにはかなわないや。」
「最近のお前を見ていればわかる。俺とベルフォルマが一緒にいるときにいつもおかしいからな。」

なんでこうも全部ばれているんだろう。

「嫉妬か?」
「ち、違うよ!た、ただうらやましって‥。」
「それを嫉妬と言うんだ。」

リカルドは穏やかに笑う。そんな笑顔が反則だって言うのに。

「だって‥いつも二人仲がいいから‥そういう関係なんだって。」

そういうとリカルドは吹いて、口元を押さえてながら笑っている。
恥ずかしくなって顔が熱くなる。

「そんなはずないだろう、たまたまだ。」

これでは一人で勝手に暴走しただけじゃないか、なんて思って俯いて涙をこらえていたらその手で頭をなでられる。
宿屋に戻り二人きりの部屋、無意識だったリカルドに手を伸ばしてそのまま抱きつく。
びっくりしたような表情をしたリカルドと一緒にそのままベッドになだれ込んだ。
赤い顔を背けるリカルドの上に乗り上げる。

「な、ミルダ‥!?」
「リカルド、ずっと僕‥抑えてたんだけど無理みたい。」

そのまま唇を奪う。
触れてそのまま離れる。

「はっ‥。」

ずっと触れたかった黒髪に触れてそのまま髪紐をほどいてそっとそれに触れる。

「僕、リカルドが好きなんだ‥。」
「‥‥っ‥。」

するりと、背中にまわした手は微かに震えていて、僕は嬉しくなってそのままもう一度キスをした。














少年はそれを恋とは知らずに走り出す
(もうこの気持ちを止めることなんてできやしないんだ)





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