特殊設定有
違うテイルズシリーズキャラが混ざっています。
獣人化です。
リカルド→蛇
スパーダ→狼
クラース→梟(シロフクロウ)
チェスター→狐

スパリカ、チェスクラが混ざってますがスパリカが中心です。











この世界を、神を、どれほど恨んだことだろうか。
醜いこの体を今すぐにずたずたにしてしまいたかった。

街を追い出されずっとこの足で行く宛てもなくふらふらと歩き続けてきた。この醜い目を隠していた布をとってみたけれど世界はただのモノクロでしか見えない。
遠い空を見つめ荒れた大地を歩き続ける。いつまで経ってもこのモノクロの世界から逃れることなんてできない。

人と蛇の混血。
だから瞳はまるで蛇のような瞳孔をしていて、左半身は蛇のような肌で。
それを恐れられ両親に捨てられ、物心ついた頃に街の人々に酷い暴行を受け街を追い出された。
どこに行ってもそういう扱いだったからずっと一人だった。もう生きることをやめようと叫んで泣いて遠い空に腕を伸ばして崩れ落ちる体。

「……死にたい…死にたいのに…どうして…。」

かすれた声で彼はそう誰宛でもない言葉を吐く。
虚ろな青い瞳から溢れる滴は汚れた頬を伝う。

ふと聞こえた足音。
ざり、ざり、と砂利の地面を踏む音
視界の端に映ったその人は、若葉色の髪を持って耳はまるで獣のように尖っている。

「大丈夫か?」

きっと旅人だろう。大きな荷物を持っている。
彼はそう思いながら唇を開けようとする。

男性は細い彼の体を抱き寄せる。鋭利な爪であったから体を傷つけないように優しく。
彼、リカルドは目を見られたくなくて男性から目を逸らす。

「どうした?」
「…俺を見て…何も思わないのか?」
「別に何とも。」

荷物を下ろして男性はリカルドの体の傷の手当てに移る。

「…名前は?」
「俺はスパーダ。」
「そう、か…。」
「あんたは?」

リカルド、と答えればスパーダはいい名前じゃねえか、と言って手際よくその体についた沢山の傷の治療をしていく。
しばらくして治療は終わった。

「立てるか?」

スパーダはリカルドの体を支えてリカルドを立たせる。
話を続けようとしたら突然の声と発砲音

「見つけたぞ!!殺せ!」
「ちっ!見つかったか…。」
「スパーダ…!?」

いいからいくぞ
スパーダはリカルドの体を抱き寄せて飛んできた銃弾を避けて大きな岩の間を抜ける。
昔大きな城だったのだろう。
廃城と化しているその中をくぐるようにして抜けていく。
大量に飛んでくる銃弾を避けながら高い塀をうまくかけあがって森の中に身を投げる。
相当高かったがスパーダはリカルドを抱いたまま着地する。

「ここまでくれば安心だろう。」
「…お前は…狼…の血か?」
「あぁ、そうだ。前いた街で厄介者扱いされてて、狙われてるんだ。」

ふう、と息をついてスパーダはリカルドを下ろす。ふらり、と崩れそうになったその体を咄嗟に支える。

「あんたは蛇か。」
「そうだ。俺もずっと前に街をおいだされたんだ。」
「奇遇だな。もし、よかったら一緒に旅するか?」

笑うスパーダにきっと一目ぼれしたのだろう、リカルドはあぁ、とそう言う。

それでもこの恋がかなうことなんてないだろうけれど。


また歩き出してしばらくすればあたりは雪景色に変わっていく。口から吐かれる息も白くなっている。
しばらく歩いていると遠くに小さな村が見えてきた。
スパーダも今まで長い事旅をしてきたが見たことがないようで、行ってみることになり、村の入口まで向かう。
静かな村だったがふと目に留まったのは狐の耳が印象的な薄い青色の髪の男性。

「おっ、来客者か?」

全く来客などない村だから相当珍しかったのだろうか。目を見開いている。
よく見ればこの村にいるものは全員獣人達であった。
飄々とした感じの彼はチェスターと名乗った。しばらくしていると、銀髪が印象的な男性が現れる。

「なんだ来客か?」
「ああ。」

スパーダの隣にいたリカルドは少し怯えているようでスパーダの後ろに隠れてしまった。
その様子に可愛らしい反応だな。そう小さく言ってクラースは口元を手で押さえて笑う。その様子にリカルドはむっとしたようだがスパーダの後ろから出ようとはしない。

「どうしたリカルド?」
「……。」
「そんなに怯えなくてもいいのに。あぁ自己紹介を忘れていたね。私はクラースだ。よろしく。」
「あぁよろしく。」
「リカルドさん、だっけ?相当ぼろぼろみたいだからとりあえず俺の家にくるか?」

スパーダは頷いてリカルドに確認を入れる。
スパーダは頼むというとそれじゃついてこいとチェスターは言ってクラースと並んで歩きだす。そんな二人はとても仲が良くてまるで夫婦のようだ。
他愛もない話して、楽しげに笑い合っている。
そんな二人にスパーダとリカルドはついていく。村の一番奥の家に案内してくれ、玄関を抜けてリビングに上がる。

「とりあえず、ここに行きついた経緯を聞かせてくれるか?」

チェスターに言われてスパーダは口を開く。

「リカルドと出会ったのは数時間前。ずっと一人で旅をしていたんだ。そしたらぼろぼろで倒れていたリカルドがいたから手当をしたんだ。それから色々あってそれで二人で旅をすることにした。それでここに偶然ついたんだ。」
「そうだったのか。それは大変だったな。そして君たちも獣人というのが原因か?」
「あぁ。俺は狼。リカルドは蛇だ。リカルドは相当酷い状態だ。これでもまだましな方。出会ったときは衰弱が酷かった。」

そう言い終わる前にリカルドの体はぐらりと傾く。椅子に座っているのもつらかったのだろうそのまま床に倒れてしまった。

「リカルド!」

スパーダはすぐにリカルドの傍に駆け寄る。クラースはリカルドの病状を看るために脈などを測る。

「相当熱があるようだ。」

寝室へ向かうように指示してスパーダはリカルドの抱き寄せる。ベッドに寝かせてしばらくすると、落ち着いたようでスパーダはほっとして部屋を出る。

「そういえばあんた、あの人と付き合ってんの?」
「はぁ!?そんなわけねえだろ!」
「顔真っ赤だね。」

にやにやとこちらを見るチェスターとクラースにスパーダはふん、と鼻を鳴らして目線を逸らす。

「でも気になってるんだろ?あれだけの美人さんなんだもん。ほっとくわけないよな。」
「うっ。」
「それに可愛らしい一面もあるみたいだしね。」
「……っうるせぇ!」
「図星だ。」

声をそろえて言う二人にスパーダは肩を落とした。
耳まで赤くしてスパーダは小さく言う。

「好きだよわりぃか…でも…俺とあいつじゃ種族が違う…。」
「形が違うだけだろう。」

クラースはそう言って傍にあったお茶を口に含んで飲み込み言葉を続ける。

「ただ姿形が違うだけ。私たちもそうだけれど愛し合っている。」
「…そうだけどさ。」
「気にしちゃだめだろ。好きなら好きだっていうべきだ。」

クラースに続けてチェスターも言葉を続ける。
彼らを見ていれば、その言葉がすごくわかる気がする。種族なんて関係ない。お互いを信じてその違いを受け入れ気持ちのままに生きているようで。
今のスパーダには二人がとてもまぶしく見えた。
寝室の方から物音がしてスパーダは扉をあける。そこには一人にされたのが怖いのかあたりを見ておびえた表情をしているリカルドがいて、傍によって涙を拭ってやりたかったけれどこの手でその頬

に触れるのは無理だったからそっと頭をなでる。

「大丈夫、落ち着けリカルド。」
「あ、あぁ…。」

声が震えているのは恐怖からか。

「ごめんな。」

スパーダは、そっとリカルドから体を離して一息おいたあと、そっと言葉を紡ぐ。

「リカルド…、オレあんたが好きだ。」

そう言うとリカルドは涙をぼろぼろと零しながらびっくりしたように目を見開く。

「こんな…俺でも…いいのか?」
「あんただからいいんだ。」

リカルドはどう返事したらいいのか困っているようでそれでも嬉しそうに笑って涙を拭って俺も愛している。そう言ってスパーダの唇に口づける。

まだぎこちないスパーダとリカルドを見ながらチェスターとクラースは笑いながら二人を眺めていた。

「旦那ー、俺らもいちゃいちゃしよ「さて、ご飯の用意を頼んだぞ。」
「えっ!?」
「私はちょっと用事があるからな。」

そんなあ!というチェスターの声が響き渡りがっくりとうなだれたチェスターはのそのそ深い溜息をつきながら台所に向かうのであった。












鎖された二人の愛
(そうだとしても、わたしはあなたを愛する)
















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