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学パロ








学校の階段をだらだらと上りながらキバは携帯で時間を確認して閉じ、そのままポケットにしまった
授業に出たくなくてさぼろうと思い学校の屋上にいけばすでに先客がいたらしい

「うげ、お前かよ。」
「失礼だな。お前とは。」
「さぼりかよ?」
「残念ながらそうだな。」

真面目そうだと思ったのだが意外と不真面目だったようだ
キバは先客であったシノの隣に座る
静かな空間の中で、流れていく雲と、時間

「あーもう帰ろうかな‥。」
「だらしないな。」
「お前もかばんもってるってことは帰ろうとしてたんじゃねえの。」
「…そうだな。」

悪びれた様子もなく平然と答えたシノはおもむろにサングラスをとった
その横顔にキバは見とれる
整った、綺麗な顔をしていると、思った

「お前って綺麗な顔してんだな。」
「突然なんだ、気色悪いな。」
「失礼だな!!ほめてんのによ!!」
「うるさい。」

溜息をついて立ちあがったシノに並んでキバも立ちあがる
丁度今は家庭科の授業だったから教室には誰もいないからキバのかばんを取りに行きそのまま学校を出た。もちろん午後の授業は全部さぼり
なんでもない話をしていればシノの家についてキバはあがりこむ

「あー眠い。」

勝手にシノのベッドに転がりこんでうとうとしだしたキバに溜息をつく
シノは鞄を置いてキバを蹴り飛ばしてベッドに座る

「酷い!」
「邪魔だ。」

とかいいつつ笑っているシノにキバはむっとしてよそを向く
なんだかんだ、キバはシノと一緒にいたし、悪い気もしなかった。
周りから見たらとても仲が悪そうに見られているだろうけどお互いそれなりに心地が良い、この感覚
はじめて会ったときは、少し挨拶しただけで
でも席も並んでいることもあって一番話をしていたし、家も借りたところが近くて、帰りも一緒になることが多かったがその代り喧嘩も多かった
けれど今ではこんな間柄で

ひらひら揺れるカーテンの隙間から洩れる淡い光に目を細めながらキバはまたベッドに寝転ぶ。そのすぐ近くでは隣で本を読んでいるシノがいて
これくらいの関係が心地よかったのだけれど

「なぁ、暇。」

キバはシノに抱きつきながらそう言うと邪魔だと言わんばかりに本で頭を叩かれるがそれほど痛くなくて、ぎゅっと抱きつく

「なんだ。」
「構えよ。」
「知らん、離れろ。」

そう言ったシノの首元に顔を埋めたキバは黙り込んでしまって何事かと思っていれば突然体を起して、小さく呟くように言う

「なぁ、お前って、実は左目が見えてないんじゃねぇの?」
「は?」
「とぼけんなよ。こんだけ一緒にいたらわかるっつーの。」

そっと左の頬を撫でてみればびく、と震える体
あぁ、やっぱり

「まさか、気づかれるとはな。」

涼しい顔でそういってのけたシノは目線を逸らした

「心配してやってんのになんだよ。」
「本当は知られたくなかったが、やはりわかるものなのだな。」
「あたりめーだし。」

綺麗な濃い赤色の瞳がまたこちらに向く
その綺麗な両目に、自分が鮮明に映ることもないのだろうけど
なんだか、わからないけれど、悔しくなってキバは手を握り締める
そしたら白くて細いシノの指がキバの頬を撫でて穏やかに、綺麗に笑った

「なぜ、お前が泣くんだ?」
「悲しい、からだろ。」

ずっと超えることがないと、思ってた、一線をもう越えてしまったんだ
触れることができずにいたその体に触れて、体温を感じて
ゆらゆら揺れる、光に照らされながらキバはそっとシノの指先に自分の指先を絡めて
笑い返した

「キバが、左目の代わりになってくれるだろう。」
「まかせとけよ、ばーか」

ぐっ、とキバはシノの服を掴んで唇を重ねた
触れて数秒後、ゆっくりと、唇が離れる
静かな部屋に、響く、声

「好きだ。」

形のいいシノの唇が、動く

「俺も、だ。」

ごろんと右隣に転がって穏やかな昼過ぎのカーテン越しの淡い陽光に包まれながら重い瞼を下ろした




















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