夢のなか













今日は久しぶりの合同演習
1日目に移動と暗くなるまでの演習を終えて合宿先の宿屋で男子部屋と女子部屋そして先生の部屋に分かれてみんな疲れたようで眠っていた

そんな中、ずっと幼いころの夢をみた
まだアカデミーに入る以前のころ
そういう血筋に生まれたその時点で忍者になる道以外は用意されていないもの
それも木ノ葉でも特異な家であった
蟲と契約し、体の中で蟲を飼い戦闘をするというそんな家庭
だからかずっといじめられてきて、それから感情など必要ないのだと知った
それを知る前はずっと、一人でただただ整理がつかず泣いていた
見苦しい、その記憶

シノはふと目が覚めると天井の木目が並んでいるだけであった起こさないようにと勝手に外に出てぼんやり散歩にでも出ようかと考えていたところで後ろから声がかかる

「どこいくんだよ。」
「キバか‥。」

サンダルを履いて隣に並んだキバから視線を逸らす

「お前、うなされてたな。」
「‥‥気のせいだ。」
「気のせいじゃねえ、これでもお前とはずっと一緒に、やってきたんだ。それくらいわかるよ。」

そう言ってシノの腕を掴んでキバはぐっと自分の方へ引く

「なん、だ‥。」
「泣いてる。」
「泣いてない。」

キバの指がシノの頬をなでて伝う滴を拭う
しばらく歩いている途中でシノは初めてキバに自分のことを話した。
さっきの夢のこと、省略はところどころして、キバは少しだけ驚いた顔して一拍置いて返事をする

「俺も今、こんなんだけど、ずっといじめられたりしてたんだぜ?」
「お前がか‥。」
「失礼な、理由はお前と一緒だよ、血筋のこととか、ほらお前が蟲使うように、俺も犬を使うだろ。変な病気にうつる、とか一時忍犬の間で病気がはやった時はずっと一人だった。」

そういえば、初めてお互いのことを話したな、なんて思いながらキバは言葉を続ける

「それにヒナタだってあいつ、目のことでいじめられてたりしてたんだって。なんだかんだ似た者同士って感じだよな。俺ら。」
「そう、だな。」
「ずっとうらやましかった、普通の子がさ。お前の気持ち、すっごいわかるしさ。」

にっと笑ってキバはシノを抱き寄せる
抵抗もないシノはサングラスをとって、キバの肩に顔を埋める
いつも後ろに上げている髪を下ろしているからちょっと幼く見える。そんなシノの頭を優しく撫でてそっと口づけ、触れてすぐ離れる

「キ、バ‥‥。」

そう呟くように言ったシノの声は少しだけ震えている
しばらくしてキバはシノの体をはなした

「帰ろうぜ。」

そういっていたら足音が聞こえて二人が振り返れば女子部屋で寝ていたはずのヒナタがいて

「あれ?ヒナタ?」
「ちょっと寝れなくて布団から出てすずんでたら二人の靴がなかったから‥気になって。」
「そっか、大丈夫だって、今から戻るところだったんだけど。寝れないならちょっと散歩でもするか。」
「うん!」
「ふ、仕方ないな。」

サングラスをとったままのシノは小さく笑って、並んで歩きだした
こうしてのんびり三人そろって歩くのもいつぶりだろうか
最初は一番交流のあったカカシ班、アスマ班、ガイ班とは違い物凄くまとまりがなくてどうなるかと心配されていたが、今ではようやく落ち着きも出てきてこんな風にできるようになった

「なあ今度飯でもいかね?」
「三人で、か。」
「そういえば、みんなで、いったことなかったね。」

そういえばこの班の組み合わせを知って、組んでからまともに三人で食べに行ったことがなかったな、と考えて、キバはシノとヒナタの肩に腕を回してぎゅっと引き寄せた

「紅先生も誘ってさ。」
「ふん、たまには付き合ってやる。」
「えらそーに。」
「でも、楽しみだね、はじめてだから‥。」

やったー!と楽しそうに、走りだしたキバの後姿を見ながらシノとヒナタは苦笑いを浮かべた













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