distance








言い渡された任務は、国でも有名な画家の家周りの護衛と一緒に周辺の掃除も頼まれたらしくキバは雑用じゃねえか、とぼそっというと綱手に叩かれていた。そして今日集められたメンバーもメンバーだった。豪邸らしく班合同でカカシ班、紅班、アスマ班、ガイ班が集められた。

「主に舵を置くのは護衛の方だ。相当広いらしいから気をつけるように。」

大きな門を開けて庭の中に入る。庭と言うよりひとつの森だ。

「門周辺は、俺の班とガイ班が東と西に分かれて行う。屋敷の中と庭はアスマ班、頼んだぞ。」
「あれ?紅班はどうするんだってばよ。」
「それがだ。同時に依頼されたのが依頼主から娘の捜索を頼まれたんだ。探索に長けているだろう?犯人は

大体わかっているんだ。今から砂隠れ方面に向かってくれ。そして娘の写真と犯人の集団の写真だ。」

そうカカシがいってく紅班の三人に目を向け写真を渡す。
いなくなってすでに3日が経っていたらしい。

「砂隠れのはずれにある洞窟らしいんだがいかんせん砂漠が広すぎてまだ洞窟の位置があやふやなんだ。そこでだ、探索に長けた君たちに探してもらいたい。」

とカカシは話しつつ少女が好きでつけていた香水を渡される。
頼んだぞ、と言われてすぐにその場を出発した紅班を見送りつつ解散とつげられた

「なんだってばよー、こんな広いのにどうしろっていうんだよ‥。」
「ぐちぐちいってないで手うごかしなさいよ!」
「わかってるってばよ!」

そう騒ぐサクラとナルトの隣で黙々と作業をするサスケは小さくため息をつきつつ持っていたホウキを動かしていた

「最近こんな任務ばっかだしさぁ‥いいよなあキバの班‥。」
「俺らには無理だ、同じものを探索したとしてあの班にかなう班なんていないだろう。もし俺らの班なんかがやったら砂漠で干からびて死ぬだけだ。ウスラトンカチ。」
「うるせー!!俺もやろうと思えばできるってばよ!!」
「無理無理!ていうかサスケくんあんなにがんばってるんだからあんたもがんばりなさいよ!」

がみがみ言われつつナルトはしょうがないというように手を動かす
そういっていたら柵越しにアスマ班がホウキを持ちつつはしゃいでいるのが見えてこちらに気づいたのかいのが走ってくる

「掃除しなさいよ、いの。」
「してるわよ、ほらこんなにもゴミ集めたのよ?」
「私だってこれだけ集めたわよ!」

良い争いをまた始めたサクラといのの後ろでめんどくせーといいつつ大きな岩に腰かけるシカマルと隣でなぜ

かもっていたおかしを食べているチョウジ
アスマはちゃんと叱るのかと思えばアスマも眠たそうにしつつ煙草をくわえてホウキを持ったままのんびりしている

「先生までさぼってるじゃねえかよ‥。」
「ていうか本当に襲撃なんてあるの?」
「まあ一応、護衛するだけだ。娘を狙ってる連中がいつ襲ってくるかわからんが、おそらく洞窟から出るようすはあまりないとは聞いていたからな、今回はないだろう。」
「じゃあ皆で洞窟いってたすければよかったんじゃないの?」
「砂漠が問題だ。大所帯で行って迷子にでもなったらどうするそれに探索に長けてる彼らの邪魔をしかねないだろう。」

あくびをしつつイチャイチャパラダイスを読んでいるカカシはホウキを既に置いている。

「ナルトが特に邪魔しそうだよな。」

シカマルのその言葉に、ナルトは噛みつくように金網に手をかけて頬を膨らませて怒っている
同感だな、とサスケに言われてサスケを睨みつけていたナルトにまあまあと言ってカカシは頭をぽん、となでる

そうしているとなぜか物凄い勢いで走ってきたリーに振り回されるネジとテンテンがいた。

「あれお前ら東側じゃなかったのかってばよ。」
「それがですね、東側はなぜか依頼主が別に心配だったのか頼んでいた人達がいてこちらにまわされたんです

それにあちらは街側ですから安全だろうということで!」
「それでこっちまで走ってきたのか。」

リーの後ろでぜーぜーと肩で息をするテンテンとネジがいた。ガイはリーと同じくとても元気で今日も白い歯を見せている

「大変だなあお前らも。」

同情を浮かべたような表情のアスマが煙草をふかしつつ苦笑いを浮かべて、座っていた腰を上げる

「よし、そろそろ見回りするぞ。」

うっそうとした森に消えていったシカマル達を見つつカカシ班も移動を始めて、退屈な1日がはじまったと退屈そうな顔を浮かべているナルトは歩き出した。








砂漠に出て焼けるような暑さに紅は手で顔を扇ぐが全く意味がない

「キバ、においの方は。」
「こっから南の方、ヒナタ、見てくれ。」

ヒナタはうなずいてきばが指を差した南の方を白眼で見る

「うんチャクラを感じる、こっちの方向であってるみたい。」
「シノの方は。」
「‥南の方であっているな。」
「それじゃいくわよ。」

また、砂漠を歩きだした、4人はしばらくしておそらく目的地である洞窟に到着した。

「匂いが強い、たぶんあってるぜ。」

岩陰から様子をうかがっていれば人がいるのが確認できて、息をひそめる。教えられていた人数よりかなり多いようだ。

「ちょっと本腰入れないと、だめみたいね‥。」
「あれ、女の子そうじゃないかな‥。」

ヒナタがそういって指をさす
肩につくくらいの髪の白の綺麗なワンピースを着た女の子が遠くに見えて写真と見比べて、彼女で間違いないようであった

「今から奇襲をかけるからキバ、貴方が女の子を助けて、ヒナタとシノはそれぞれ敵の気を引いて援護はする

わ。」
「了解。」

そういってそれぞれ指示された位置に散っていく
シノがヒナタの方を見て小さくうなずいてすぐ一気に奇襲をかけた

「な、なんだ!!」

キバがそんな戦闘をしている敵の間を上手くすり抜けて奥で怯えるようにうずくまっている少女の元に駆けつける

「大丈夫か?お前のかあちゃんとうちゃんに依頼を受けて助けに来たんだ。」

ロープを爪で切り裂いて腰がすっかり抜けてしまっている少女の体を持ち上げる、後ろから襲いかかっていた

男の攻撃をよけて、洞窟の外に避難して援護に回っていた紅に預ける。

「キバ、貴方はシノとヒナタの応援を私は今からこの子を安全な場所に移すわ。」

そういって少女を連れて去っていった紅をみとどけて大勢と戦っている二人に混ざる。
暑さもあって体力の消費は早く最後の一人に手をかけようとした瞬間暗い洞窟の中を照らしていたたいまつに男は手裏剣を投げる
何かと三人がその方向を見たとたん下には大量の火薬があった

「だめだ間に合わねえ!」

火に反応して火薬は大爆発を起こした
猛烈な熱風が吹きこんで火が襲いかかる
ああ、だめだとキバは思った瞬間には既に洞窟が崩れようとしていたそこで意識がとんでしまった。


その物凄い音に、紅は振り返って言葉を失う。
教え子であった三人の姿はなく洞窟がふさがっているのだ砂煙が立上っているのだ。
だが今回の任務の目的は少女を救いだすこと。
相当衰弱した様子の少女を見て仕方ないと紅はすぐに木の葉に戻る。
木の葉に戻れば夕方で屋敷に向う
どうやら指定された時間が終わって門の前で集まっているナルト達が依頼主である著名な画家である男とその妻が心配したようにしていたがこちらに気づき少女を見た瞬間一気に顔がほころんで紅はほっとしたように二人に少女を引き渡した

「衰弱はしていますが、数日休めば治りますよ。念のために病院につれていってあげてください。」
「そうですか!ありがとうございます‥本当にありがとうございます!!」
「よかった‥!」

少女は両親の姿を確認して笑って紅に振り返ってか細い声でいう。

「ありがとうございます、あと助けてくれた、お兄ちゃんとお姉ちゃんにもありがとうっていっておいてください、いつか元気になったら、あわせて、ほしいです。」
「もちろんよ!またあの子たちにも言っておくから。」

少女のさらさらの黒髪をそっとなでてにこりと紅は笑う。
両親もいつでもおいでてください、と言って紅にふかぶかと下げた。

「紅先生お疲れ様です、ってあれ三人は?」
「あとで話はするわ。」

報酬を受け取った後、紅は少し暗い表情で訳を話した

「私が彼女を安全な場所に連れて行って治療していた時だったわ。すごい音がしたと思ったら、洞窟がくずれていたの。きっと火薬か何かが爆発したんでしょうね。」
「それで‥?」
「私ひとりではどうすることもできなかったわ、でも少女を助けるのが最優先だったからひとりでもどってきたのよ。今は行方不明として提出しておくけど、望みは、薄いでしょうね。」

その言葉に一気にその場の空気がおもくなる。

「救助はできねえのかよ‥?」
「今から砂漠なんかに行ったらそれこそ、自殺行為よ。これ以上犠牲を増やさないためにも明日まで待つしかないわ。まさかこうなるなんて思ってもいなかったわよ‥思った以上に岩盤がもろかったみたいだわ‥。」

そういって紅は握り締めていた手で目尻に滲んでいた涙をぬぐう
ただ言葉を失っている面々の中でナルトは声を漏らした

「なんでこんなことになったんだってばよ‥。だから一緒にいけば!!」
「ナルト、言ったってしかなたない今日は解散だ。」
「先生!なんで!やってみねえとわかんねえじゃないかよ!助けに行くんだって!」
「‥行って何ができる。」
「明日には救出できるかもしれねぇんだ。でも聞く限り困難そうだけど、な。」

その言葉に唇をかみしめながらナルトは目線を下ろした







体にのしかかる岩からなんとか抜け出してキバは外に這い出た。
腕に焼けるような激痛が走る。皮膚が赤くただれていて、舌打ちを打つ
爆発に巻き込まれた際腕で顔を防いだために直で火を食らったからだろう。
痛みに顔をゆがめていると、シノとヒナタも自力でがれきの中から抜けだした。
ヒナタが一番の傷を負っているようで、脇腹から血が流れ出している

「ヒナタ!大丈夫か!」
「う、うん‥。」

そういって崩れ落ちそうになったヒナタをキバは支えて、楽な態勢にする。
シノが止血を行いなんとか応急処置を終えた

よく見ればシノもところどころやけどを負っていて肩の裂傷から血が出ている。

辺りは真っ暗で星と月が空を飾っているがそんなのもみれたような状態ではない
このままでは夜の砂漠で凍死なんて考えられる
すでに氷点下にまでなっていて思うように体が動かないがいくしかない。
キバはヒナタを背負い、砂漠の中を歩きだした
突き刺すような寒さと腕の激痛に耐えながら背中で時折苦しげな声を上げるヒナタを心配しながら隣で黙々と

歩くシノに目を向ける

「シノ、お前は大丈夫か?」
「大丈夫だ‥。」

だが少しだけ歩き方に違和感がある、どうやら足も怪我しているようで

「無理すんなよ。」
「わかっている、だが今はヒナタが最優先だ。急ぐぞ。」

少しだけ歩くスピードを上げて砂漠を抜けてうっそうとする森の中に入る。
砂の所為で体力が奪われて意識が飛びそうになる中ただ無言で歩き続ける。
響くのは苦しげなヒナタの声だけで。
その前にシノがキバに変わってヒナタを背負ってただひたすらぼろぼろの体を引きずって歩きだす。


それからどれくらいが経っただろうか、すでに夜が明けようとしていた
うっすらと朝もやに浮かび上がる門を見てキバは安心したように息を吐いて門をくぐる。
誰もいない静かな街の中。
遠くで声が聞こえてキバとシノはそちらに目を向ければ見慣れた面々の姿がいた。
するとそんな二人に気づいたナルトが駆け出して、それに続くように皆が集まる

「お前ら、そんなんでここまで歩いてきたのか!?」

ナルトが驚くような声でいう。

「ヒナタが危険な状態なんだ。」

もう立っていることも無理な状態なんだろう、キバは地面に座ってそう言った。

「とりあえず病院にいこうか。」

カカシがそういって病院に向かう。
思った以上に三人の状態は悪かったのか治療にはそれなりの時間を要した。

「紅先生、どうだったんですか?」
「えぇ、ヒナタはしばらくは入院、キバとシノはあんな顔してたけど酷い火傷と裂傷があったわ。止血もほどこされてなかったから安定するまではとりあえず休養ね。あんな状態であの場所から歩いてきたんだもの、びっくりしたわ‥。」

そういっていたら治療を終えたキバとシノが出てきた。
キバはうなだれつつ、相当疲れているのか無言のままで隣のシノはいつも通りと言った感じであった

「ていうか、何でお前らこんな朝から集まってたんだよ。」
「そりゃお前ら探すためだろ!」

そう大声で言ったナルトに耳をふさぎながら眉をしかめる。

「うるせーよ!」
「お前もな。」

シカマルにそうつっこまれてぎりぎりと歯ぎしりをするキバの後ろから紅が声をかける

「でもあなたをそこまで心配して探そうとしてくれたの。」
「そりゃわかってるよ‥。」
「さて、貴方達二人もきたところだしヒナタの所に行くわよ。」

ヒナタのいる病室に向かい扉を開ければ、目を覚ましたのか扉の方向を向けて一気に赤面。

「キバくんとシノくん、ごめん、ね‥私ずっと背負ってくれて助けてくれて‥。」
「んあ、気にすんなよ!おまえが一番重傷だったんだ助けるのが辺りめーだよ。」
「‥本当にありがとう。」

不安げな表情が穏やかな表情になってぼろぼろと溢れる涙はそのままにそうヒナタは言った。
キバとシノの後ろにいた紅はそのままがばっと三人を抱きしめてわしわしと頭をなでる

「ぎゃあああああいってえええいてえ!紅先生!!」
「‥‥はぁ‥痛いです、先生。」
「‥えっとあ、えっ!」

感極まって涙を流して嬉しげによかった、と言って力を込める

「死ぬ‥先生死ぬ!!!!」

紅の腕をばんばんと叩いてようやく解放されてキバは咳きこむ。

「ヒナタ!元気そうでよかったってばよ!」
「えっナルトく、ん!?」

一気に顔が赤くなって、慌てているヒナタを微笑ましく見ているカカシとアスマはニコニコとしている
ぜーぜーと肩で息をするキバとその隣で小さくため息をついたシノの肩を叩いた紅

「今度皆でごはんにいくわよ。今までいってなかったでしょ、この機会だもの。」
「先生のおごりならいkぎゃああ腕痛い!!先生!!」
「冗談よ冗談。もちろんよ。ふふふ。」

と言われながら紅に首を腕でしめられているキバを眺めながらシノはもう一度溜息をついて、病室から静かに

出た。


まだ夜が明けたばかりで静かな廊下を歩いていたら後ろから足音が聞こえた。

「おい!シノ!気づいたらいなかったから、帰るならいえよ。」
「‥キバか。」

少しだけ走った痛みにすこし顔をしかめつつ。
懐に入って疲れたように眠る赤丸を撫でながら照れくさそうに言った。

「今まで、なんかその色々喧嘩してたけど、ありがとよ。」
「‥‥気にするな。」
「たぶん、シノじゃなかったら‥だめだった、だからまじ感謝してる。」

そういってぎゅっとシノをだきよせた。
いつもならいやがるのに今日は何もしないシノの肩に顔を埋めた。

「そろそろ帰るぞ。」
「なぁ、お前の家、いってもいい?」
「何故だ。」
「いいじゃねえの!」

強引に押し掛けるようにキバはシノについていき家につき部屋になだれ込んだ。
整えられた綺麗な部屋
シノがいつも使っているであろうベッドの上に寝転ぶ。

「邪魔だ。」
「ていうか黒ばっかだな。カーテンも。」
「‥‥直射日光は目に悪い。」

淡い光が窓から差し込んで眩しげにシノは眉をしかめて、カーテンを閉めた。
キバが寝転ぶベッドに腰を掛ければ後ろからキバがシノを抱き寄せて腕に引きこむ。
サングラスをおもむろにシノはとって傍の机の上に置く。
初めてみたその瞳は赤紫色をしていて、キバは思わず綺麗、と呟いた
綺麗な済んだ色をしたその瞳。

「あまり、好きではない、この瞳が。」
「なんでだよ、綺麗なのに。お前の一族は皆その色なのか?」
「いや‥自分は、生まれた時に変異か何かで、この色になった。だから嫌いだ。」
「俺は好きだけどな。」

そういってそっと瞼に口づけて、影になるように頭を抱きこんで閉めたカーテンを開く
きっと今までちゃんと、光を、感じたことがなかったシノは少し驚いて目を見開いた
至近距離で見つめ合って、そのままそっと口づける。
触れただけで、それははなれる
微笑んだキバにつられてシノも笑ってゆっくりキバの背に腕を回した



何も聞こえない静かな、部屋の中、まどろみに浸って、瞼を下ろしたシノに呟くように、言った

「愛してる。」

心地よいその声を最後にそっと眠りについた






























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