きみのて



女体化








いつもうるさいくらいにはやかましいキバがいつになく元気がない。
今週にはいってからそれがしばらく続いていて幼少期からの付き合いであったシカマルはうんざりしつつもどうした?と心配そうきくが、首を振るだけで何も答えない
並んでだらだらと歩いていれば、前からナルトとリーとチョウジの三人が歩いている

「よぉ、お前らそろってどうした?」
「いやさー綱手のばぁちゃんに呼ばれて暇してるなら資料をまとめろとかなんとかいわれてよーいま終わったところだってばよ」
「お前らも大変だな‥。」
「それで今からごはんにいくんだーシカマルとキバもどう?」

とチョウジにきかれて気晴らしにはいいかとシカマルはキバの返事もきかず首を縦に振り五人でごはんにいくことになった

「どうしたんだってばよ、キバ‥。」
「‥なんでもねぇ。」
「今週ずっとこんな感じだ」

溜息をついてうなだれるシカマルの横にいたナルトはキバの隣にいって肩をぽんと叩く

「なんだよ、ふられたのかってばよ。」
「ち、ちげーよ!!」
「図星だな。」
「うっ」

足を止めたキバにつられ後の四人もとまる

「いや‥別によ、ふられたとかじゃなく‥泣かせちまったんだよ‥。勘違いなんだけど‥。」
「ってかお前彼女いたのか?」
「んあ?その一歩手前だよ‥。」
「誰なんだってばよ?」
「あーーいわなきゃだめか?」
「‥そりゃあ相談に乗るならそれ知らなきゃな。」

首を捻ってしばらく悩んだ表情を見せていたキバであったが小さくぼそりとその名前を言う

「同じ班のさ‥。」
「ヒナタか?」
「‥違う。」
「え?まさか‥シノ?」
「そ、そうだよなんだよ悪いか‥。」
「まぁ‥スタイルもいいし可愛いけどな‥ちょっと近寄りにくいって言うか‥。」
「そう思うだろ、でも可愛いんだよ、天然だしよ‥ドジだし、もうなんかすっげ可愛いの。」

なんだかんだ惚気るキバにシカマルはまた溜息をつきながらキバの背中を押す
焼肉屋についてそれぞれ席について先ほどの話の続きになった

「んで?」
「それがさ‥いやさ俺が全部わりいんだけどまあ色々あってヒナタと二人で話してたら‥ヒナタがまあ変な奴に絡まれて‥助けてんでまあその自然な流れでだぜ?いい雰囲気になったっていうかなんていうか‥それでまあうん‥シノにたまたまあってそれで‥うん‥。」
「そりゃまあうん、お前が悪いな。ってかお前も罪な男だなー!」
「女の子二人にはさまれていいよな〜」

ジュースをすすりながらナルトはまぬけな顔でそう言っていたのをキバは睨みつけながら肘をついてぼんやり外を見た
それから1時間ほど食事をしつつどうしたらいいかなどを話して店を出て、並んでまた歩いていた時にキバの悩みの種であるシノと鉢合わせになったのだった
それを見た瞬間シカマルとナルトはキバの背中をついてチョウジとリーを引っ張ってどこかに走り去って言った

「おい!!おまえら!!後で覚えとけよ‥。」

一気に空気が重くなるのが感じられてぎこちない動きでキバはシノの方に振り替える
サングラスにおおわれやはり分からないその表情

「よ、よう‥シノ‥。」

無言でキバを見据えていたがどうしたらいいのかわからずサングラスの奥の瞳がうろうろと視線をさまよわせて俯いてしまった

「シノ‥あの今から話してぇんだけど‥いいか?」
「あぁ‥かまわないが。」

今手持ちの金もそれほどなかったためにすぐ近くの誰もいない公園にいった

「あー前のこと‥まだ、疑ってるのか?」
「‥前の、こと?」

首をかしげたシノの長くて黒い髪がそれにつられて同じように揺れる

「覚えてねぇのかよ‥。ヒナタとの‥ことだよ‥お前、泣かせちまったし‥いい加減はっきりしてぇって‥思ってたからよ」
「‥あぁ‥ヒナタから事情はちゃんと聞いた‥こちらこそすまなかった‥勘違いで‥勝手に泣いて‥その‥。あの‥。」

ぼそぼそと言ったシノはキバの方に視線を向ける
白い指がサングラスに掛けられて、それが外される
赤紫色の瞳がキバにまた向いて、少し赤い頬をそのままにゆっくりキバに近づいて、少しだけ背伸びをしてキバの頬にキスを落とした

「うお、シノ!?」
「すまな、い‥。」
「‥い、いやこっちこそシノのこと泣かせちまってすまねぇ‥んで‥付き合って‥くれっかな?」
「私で‥よければ‥」

小さく、でもちゃんと聞こえたその言葉にキバは嬉しそうに笑ってシノの体を抱き寄せる
柔らかくて、細いその体をしっかりと、でも優しく抱き締める

「あーもうほんっとごめんな‥シノ!」
「もう終わったことだ、気にしていない‥。」

ゆっくりと体を離して、至近距離で見つめ合う、そして瞼を下ろしたシノ、にゆっくりと顔を近づけていく
あと少しで唇が重なる、と言ったところで数人の叫び声が響く

「いててて‥押すなよな‥ナルト‥」
「だってよー!」
「‥‥おま、えら‥。」

地を這うような声でキバは立ちあがった四人を睨みつけている

「キ、キバ!!こ、これは誤解だってばよ!」

ナルトの胸倉を掴んでキバは冷たく笑った。目が死んでいるのは誰が見ても明らかで
シカマルとチョウジ、リーはさっさと退散してしまって公園にナルトの悲鳴が響き渡った

「あーもう‥いい空気だったのによ‥。」
「キバ?」
「あ、なんでもねーよ、どうする?今から。」
「キバに任せる」

中々見せない笑顔でシノは嬉しげにキバの隣に並ぶ
ここら辺はやはり女の子らしいなとか思いながら手を差し出す

「手、つないでいかね?」

ぼっと顔が真っ赤になってシノはゆっくりとその手に自分の手を重ねる
いわゆる恋人つなぎなんてして、二人は街に踏み出した










翌朝
公園で砂場に埋められたナルトが発見されたそうだ

「ひでえってばよ‥。」
「そりゃあんた良い雰囲気ぶち壊したんでしょ?自業自得よ!」
「いやあってかシノってすっげ可愛い顔してたってばよ‥キバうらやましいってばよ‥。」
「いらないこといわない!」

サクラに傷口に消毒液をぶっかけられたナルトの叫び声がまた響いた
























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