NARUTO
失明
キバシノ














ゆらゆら揺れては視界の邪魔をする光の帯が邪魔だった
でもそれは初めて見た、真っ暗じゃない確かな光と青色の世界だった

そっと手を伸ばしてみればそれは指先をすり抜けてまっすぐに水の中を照らすだけだ


そんな綺麗な夢からひきずりだされてゆっくりと瞼を開くと
やっぱりそこは真っ暗な世界。わかったとしても微かな光だけ



白い指先が、そっと頬を伝って目尻に触れる

「どうした?」

そうシノの耳に届いたのは隣で寝ていたキバのもので
周りは誰も起きている様子もなくまだ夜中だろうか、ひさしぶりの合宿でこうして寝るのもいつぶりだっただろうか
あれだけうるさかったのに寝てしまえば聞こえるのはナルトとチョウジのいびきくらいか
この時間帯となれば蟲も休息をとっていて、自分の感覚だけで動くしかないのだ

「寝れねぇのか?」
「い、や‥変な夢を見た」

すっと立ち上がって障子をあけて縁側に出る
それに続いてキバも縁側に出て障子を閉める

「変な夢?」
「目が、見える夢だ、綺麗だったとても、青くて、確かに光が見えた」

サングラスに覆われていないシノの瞳は遠くを見ていた。
実際は見えていないのだけれど全てを見透かすような瞳
ふと見た横顔は見とれるほど、美しくて、息がつまりそうだった
キバはゆっくりとその頬に触れてみる
触れただけで、壊れそうなほどに白く綺麗な横顔

「キバ?」
「あ、すまねぇ」
「いや‥構わない、お前の、手はとても優しくて落ち着く」

唇を弧に描いて微笑むシノはキバの手に手を重ねて優しく撫でた

「この目が、見えたらどれほど幸せなんだろうな」
「どうして?」
「‥キバの、姿が見えないのが、辛いんだ、何も分からない、悲しんでいても何をしていても俺には分からないんだ、助けることもなにもできないそれに、どこかに行くんじゃないかと、不安なんだ」

冷たい指先がぎゅっとキバの手を握り締めてそのままキバの腕の中にもたれかかった
髪が降りている所為で表情は見えないが確かにその頬には涙が伝っていた
キバはそれを見ながらゆっくりと抱きしめる
わざと顔が見えないように

しばらく泣きやむまでキバはシノの背を撫でた
するとゆっくりと顔を上げて両手でキバの顔に触れる

「‥済まない」
「謝るなよ、別に謝るようなこと、シノはしてねぇだろ」

その手を掴んでぐっと腕を引き寄せて唇を奪う
そして唇を離してキバは強く強くシノを抱き寄せながら言う

「俺に何ができるかわかんねぇけど、どこにもいったりしねぇよ、約束する、だからそんな顔すんなよ」

瞼を下ろして少しだけ荒くなった息を整えながらいとおしげに小さく笑う
もうじき夜明けが来るころ、シノは瞼を下ろしたまま微かな光を感じながら優しいまどろみに浸った












ここには私が居て、そこにはあなたが居る













clap thanks you.


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -