縄と迎える朝 |
……………ぅ… …何、してんだ、キ… ……本当に、何してやがんだ、キッド。おい、ちゃんと聞いてんのかキッド。 見りゃ分かるよ、縛ってんのは、見りゃあ分かんだよ。 聞きたいのは、何で朝っぱらから俺を縛ってんだって事だ。 …………、へぇ……意外だぜ、キッド。 そんな台詞があんたの口から出てくるとはな…。 ……………。 …………ん? あ、いや…、別に怒ってるワケじゃねぇよ。 …俺に執着なんかするたぁ…あんたも焼きが回った、つか。…あー…面白いと思ってただけだ。 ま、こんなぼろっちい縄で、マッドドッグ様を捕らえようなんざ、百年はえぇがな。 大体縄なら、あんたの首にぴったりなモンを、いつかこの俺がくくりつけてやるぜ。 しかしな…オイ、随分と汚ねぇ縄だな。もっと他になかったのかよ。 砂だか土だか埃だか、落ちまくってんぞ。あんた、自分で掃除しろよな。 あぁ?……空き家で野晒しになってたのを取ってきたぁ? あー、そう…。 そうだな、そりゃ住人も要らねぇから置いてったんだろうよ。あーあーそうだろうよ。 …随分と、色んな事が適当になってきたなぁキッド… ……何でもねぇよ。今更だったよ。 そんな事より、キッド。 いいから早くこの縄外せ。不便なんだよ寝んのに。 …今日の俺は、ベッドが恋人だ。朝飯なら1人で勝手に食ってろ。 …ほぉう?誰の、どの口が、そんな事言うんだ? 足も肩も手も喉も、腰も首もケツの穴も腹ん中も、誰のせいでこうなってんのか胸に手ぇ当ててよぉく考えやがれッ 怒鳴れないくらい満身創痍な人を、朝から縛り上げる人 |