目玉の話 |
………なあ、キッド。 ちょっとこっち向けよ。 あ?意味?ねぇけど。 いいから顔、こっち向けろって。 ……あー……あんたの目って…、何だろうな。見てっと、こう、ざわざわすんだよ。 強い色してんだよな。そんな濁って、随分と鈍いのに。 まあ。綺麗といえば、綺麗なんだろうな。 ん?何だよ。 ハァ…?いやいやいや。嫌だってんなら、わざわざ覗き込んだりしねぇよ。 ぐちゃぐちゃに濁り切ってんのに、キレーなその目玉。俺は、割と気に入ってんだからな。 ………そういえば。こういう色合いの石、いや宝石か?そんなモンをさ、俺どっかで見かけたことあるぜ。 ありゃあどこだったかな。 安っぽい飾りで囲んだ、綺麗な石だったぜ。確か、石ん中に色々混じっててさ。 何かに似てんなと思ったんだ、見つけたとき。 今思い出した。 あんたの目に、似てたんだ。 買おうかとも思ったんだが、何か紛い物みたいに感じて、止めたんだよなぁ。 買わないで正解だったぜ。 いくら似てても、綺麗でも、あんたのこの目にはかなわない。 ……あんたの目玉を抉って、あの石の飾りなんかよりもずっと上等な、この色に相応しい飾りで囲ってさ。そうやって、装飾品みたいにして持ってんの、いいかもな。 …おいキッド、抉ろうとすんなよ。 冗談だよ、ジョーダン。 それにあんた、目ぇ無くなっちまったら俺との決闘はどうすんだ。勝ち逃げなんざ認めねぇぞ。 ……は?欲しい? 何が?……俺の目玉? あのなぁ、嫌に決まってんだろ。 俺の目が無くても、結局、決闘出来ねぇだろうが、馬鹿。 ……………オイ、へこむなよ。 しっかし、俺の目玉を、ね。 はは、黒いだけの目玉を欲しがるなんて、あんたも酔狂だなぁ。 大体、しばらく経ったら腐り落ちるぜ、抉った目玉なんか持っててもさ。 生身の俺ので我慢しとけよ。 どっちもどっち。 石のイメージは琥珀とかその辺り。 青目ならタンザナイトとか瑠璃とかクリソコラとか、その辺り。 |