サンダウン・キッドは不味そうに物を食べる




サンダウン・キッドは不味そうに物を食べる。


一口大に千切られたパンが、薄く開かれたキッドの口に放られ坦々と咀嚼される。そのまま喉を通って、胃に押し込められただろう。
そんな姿を見ながらマッドはぼんやりと思う。不味そうに食うなあ。


傍から見ていると、どうにも食事を楽しむというよりかは必要だから栄養をとっているだけの様だ。おそらく今の食べている物に、嫌いな物があるから、という訳ではない。食物でさえあれば、基本的に何を食べても同じ顔だ。

パンを食べる時、湯気を立てたスープを黙々とすくう時、肉を切る時も、また同じ。
普段と変わらない表情で、無感動に切り分けられる肉の塊。切り口は意外にも乱雑だ。肉汁が皿を流れる。あまり口を開けない上、音も立てずに食べるから酷く静かだ。が、放っておくと割と食べるスピード自体は早い。



最後にコーヒーを啜り、そして、多分ずっと言いたかったんだろう疑問をキッドは口にした。



「………何故見ている?」
「…いや別に?」



サンダウン・キッドは不味そうに物を食べる。
見ている分には、面白い。







綺麗に全部食べる人








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