揺れる忍者像





忍者ってこんなんだっけ。
アキラは思う。


忍者って、前線に出て戦ったり、会ったばかり人間の為に苦心したり、こんなに人の心配しながら考え込んだりするモンだっけ。


こっそりと、おぼろ丸の心を読みながら、アキラは思う。





(……キューブ殿に、いんろうの秘薬やなおり草は効くのだろうか…もし効かぬとすれば手当ては如何様にすれば…)

(はいすぴぃどおぺ、なる物をキューブ殿本人が使えるといっても、この悪鬼物の怪はびこる場では何があるか分からぬ)
(早急に確認すべき点でござる)


(早急に、といえば。…高原殿に、何か身を守る品が必要でござるな)

(肉体を武器にする為か、誰よりも怪我が多いのが現状…)
(武術家といえど、生身の人間。致命傷を負ってからでは遅い)
(当人が、物の怪も怪我も恐れぬ分、我々が気遣いたい物でござる…)



(?アキラ殿が此方を伺っている様な…いかが成されたのだろうか…、……!?…ああ!アキラ殿の腕に傷が!これは一大事!)

「失礼致しまする。アキラ殿、右の腕に」
「あぁぁぁもうぅぅぅぅッ!お前ホントいい奴だなぁぁぁッ!!」

「!?」




とにかく、忍者ってこんなんだっけ、とアキラはおぼろ丸を見る度に思っている。

忍者といえば、冷血漢だとか、心は不要の殺戮機械だとか、そういうイメージがあるではないか。
正直おぼろ丸は、そのイメージに欠片もかすっていない。


仲間思いの気配り屋。
忍者らしくはない。そう思う反面、その心内の善良さに、アキラの中でのおぼろ丸の評価はうなぎ登りだ。



同時に、アキラにめちゃくちゃに撫でられて心底誉められたおぼろ丸の中でも、ひっそりとアキラの評価は天井知らずだった。








エスパーと、0人切り忍者。







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